日本と米国の比較でわかる、若者世代の「意識」の違い
3番目には、世代論の文脈が日本とは異なるという点があると思います。
まず、現在の若者が「団塊世代」に抱くイメージの問題があります。
アメリカの若者は、例えばですが、ヒラリー・クリントンなど、同じ団塊世代でも「リベラル・ホーク」に属する人については、「軍産共同体と結託」しているとして嫌います。
ですが、一般的には団塊世代に対して意外なほどフレンドリーです。
例えば、亡くなったスティーブ・ジョブズがいい例で、彼の伝記を読み、ヒッピー的な天才性にカリスマを感じるという点では、1990年以降に生まれた世代にも幅広い共感を得ていると言っていいと思います。
個々の家庭の中で、平均すると親子の関係が悪くないということもあるかもしれません。
若い日にロックバンドを結成していた祖父が、息子にギターを教えるとか、青春時代の「ハメ外し」の経験談を子供たちに伝えるというような話は結構多く聞かれますし、U2やブルース・スプリングスティーンなどのコンサートには、3世代の観客も多いようです。
団塊世代ではありませんが、例えばテイラー・スウィフトの場合は、母と娘でコンサートに行くというのもあります。
中でも「60年代回帰」の象徴と言えるのが、ビートルズのブームだと思います。
10数年前になりますが、iTunes がビートルズの作品をダウンロード販売を開始した際には、アメリカでは大きなニュースになりました。
そして、現在ではストリーミングを通じて、やはりビートルズというのは巨大な存在感を維持しています。
とにかく、画一化され、規格化された現代の楽曲と比べて、ビートルズの「クラシック」としての価値は不滅だからだという声は依然として大きなものがあります。とりわけ、歌詞の鋭さは現代の若者にもアピールするようです。