元自衛官芸人やす子に漂う「不穏な空気」と「不快感」の正体。ボランティア叩きから「はい~!台湾有事は日本有事」へ?

2024.05.15
by 東山ドレミ
 

“政府の犬”に成り下がったイエスマンやす子

2024年1月1日16時10分、正月のだんらんを最大震度7の大地震が襲った。死者245人、不明者3人、負傷者1307人。能登半島地震から4カ月以上経過した今も、復興のメドはまったくついていない。

そんな被災地で今、問題になっているのが、圧倒的なボランティア不足だ。

テレビは最近になって「発災当初とは状況が変わってきた」「ボランティアが足りなくて大変だ」などとアリバイ作りの報道をしている。だが当時の「ボランティア叩き」の風潮はたしかに常軌を逸していた。被災地を訪れる人間が、あたかも犯罪者のように扱われていたのは記憶に新しい。

「その異常な流れに“加担”したのが、他ならぬピン芸人のやす子というわけです。やす子は1月7日放送のサンジャポで、自衛隊による災害救助と民間のボランティアを比較。自衛隊が能力的に自己完結できる一方、ボランティアは食事や宿泊などのリソースを消費してしまうとして、現地の迷惑になるからボランティアには行かないでほしいです、と呼びかけました。

これが、元自衛官としての知識を活かした、純粋な善意からのアドバイスであれば、今のように批判されることはなかったかもしれません。でも、やす子に嫌悪感を抱く人々はそうは考えていないようなのです。

なぜなら、このときのやす子の主張は、初動の遅れを批判されていた政府や馳知事の言い分を丸写ししたものでしかなかったからです」(同)

実は、与野党の党首が「現地入りをしない」という不可思議な決定をする中、山本太郎氏だけが被災地を視察に訪れ、その際に“炊き出しのカレーを食べた罪”で猛バッシングを受けていたのが、ちょうどこの時期にあたる。

グーグル日本法人元社長の辻野晃一郎氏は、MAG2NEWSの記事(2024.1.13)で、当時の世相を次のように批判している。

今回、政府や県の初動が悪くて被害の全体像の把握がなかなか進まない中、救えた命も救えなかったという話や災害関連死の増加が懸念されるという話も出ています。

山本氏が、日頃から貧困者への炊き出しや、被災地支援などに体を張って熱心に取り組んできている姿を目にしていますが、今回も真っ先に被災者に寄り添ったのは、彼にとってはただごく自然な行動だったのではないでしょうか。

被災地で振る舞われたカレーを食べたとかで、しつこく山本氏をバッシングする人たちの心情が私にはまるで理解することが出来ませんでした。

現地を視察した山本氏は、その後国会で、岸田総理に被災地を見捨てないように強く求めた(2024.1.29)。だが復興は遅々として進まず、現地はゴーストタウン化しつつあるのが現状だ。

このように時系列でみていくと、やす子のサンジャポでの主張は、極めて政治色が強い、偏ったメッセージだったとも解釈できる。嫌悪感を抱く人々が増えるのも無理のないことか。

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