そして当時の人々は強迫的に「情報」を大量消費する必要もありませんでした。
ここで言う「情報」とは、自然界に溢れている豊かな情報一般の事ではありません。
主に「言語」などで構成される「社会的な」情報のことです。
そして、「社会的情報」はコミュニケーションのためのツールですから、常に「他者」の存在が前提になっています。
それに対して、「眠り」は個人のものであり、あくまで一人のものです。
ですから、人は「社会的情報」を処理しながら眠ることはできないのです。
「同床異夢」という言葉がありますが、たとえ、仲の良いカップルが、眠りに就く前に激しく濃密な性的なコミュニケーションを交わしたとしても、眠りに落ちればそれぞれが一人ずつ、別々の夢を見ます。
人は、基本、それぞれの内なる宇宙に生きており、昼間の活動中には他者と共同作業をしていても、眠りに就けば、各自個別の内なる宇宙に帰って行くのです。
ですから、夜、いつまでもケータイを見ていて眠れなくなるというのは当たり前の話です。
FacebookやXといったSNS、それにLineやe-mailの類は、明らかに眠りを妨げる「睡眠阻害薬」です。
正気を保ちたいと思ったら、寝る前には、ケータイやパソコンなどの端末を遠ざけるべきでしょう。
なぜなら、Sex同様、眠りは極めて「プライベート」なものであり、神聖な寝室に「社会」が土足で踏み入るようになれば、それはジョージ・オーウェルが予見した『1984年』の世界であり、まさに、全体主義的な管理社会の悪夢だからです。
その昔、『ベッドで煙草を吸わないで』などという歌が流行りました。
しかし、そんな「寝タバコ」がやめられない、ニコチン中毒患者のほとんどは、火災で死ぬか、肺がんで死ぬか、いずれにせよ、今では大方死に絶えてしまいました。
同じように、「寝苦しい」と愚痴を言いながら、ベッドにスマホを持ち込んでいる人たちの末路も惨めなものに終わるでしょう。
慢性の睡眠不足で崩壊しかけた彼らの脳は、いつの間にか「ビッグブラザー」に洗脳され、妙な薬を打たされて、「原因不明」の「超過死亡」に分類されるのが関の山、というのは言い過ぎでしょうか?
例によって今回も、年寄りの取り越し苦労に終わってしまい、誠に申し訳ございません。
毎晩、上質な睡眠を満喫していらっしゃるあなた様には、まったくもって「余計なお世話」でございました。
それにいたしましても、自然な睡眠は今では贅沢品になってしまいました。
その贅沢品には、さらに、爽やかな朝の目覚めというオマケまでついてまいります。
こうなると、後は「天に感謝」するしかありませんね。
そうです。何も遠慮することはありません。
元気に目覚めた朝は、朝から素直に「感謝」すれば良いのです。
こうして、ポジティブな運命の循環が回り始め、幸せな人はますます幸せになる、というわけです。
世の中は不公平にできているのです。
今後もしばらくは、ぐずついた天気が続きそうです。
だからといって、無理に「寝苦しい夜」にお付き合いする必要はありません。
文明の利器を上手にお使いいただいて、爽やかな「感謝の朝」をお迎えください。
(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』6月28日配信号より一部抜粋。他のコンテンツもお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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