1.働き口
高齢者の貧困問題を解決するための最も緊急な課題は、雇用創出と定年延長だ。現在、法的定年は60歳だが、韓国では平均45歳を前後に核心働き口から押し出されるのが現実だ。こうなれば十分な資産を貯められないままその後の20~30年間を何らかの雑用で生計を立てるしかない。
崇実(スンシル)大学社会福祉学部のホ・ジュンス教授は「来年から超高齢社会(高齢者比率20%以上)への進入を控えているだけに、少なくとも65歳まで定年を延ばす案を直ちに議論しなければならない」と話した。現在、フランスは62歳、ドイツとスペインは65歳が定年だ。
高齢者の雇用創出のためには、身体能力と適性を考慮し、求職高齢者と雇用をつなぐシステムを構築することが必要だ。食品企業プルムウォンのキムチ博物館「ミュージアムキムチカン」で働く「シニアドーセント」クォン・ソンギョンさん(60)は引退後、適性に合う新しい職業を見つけることができたケース。クォン氏は10年間、保育園の教師として働いていたが、今年2月に定年退職した。引退はしたが、子供たちが経済的に自立するまで働き続けたいと思った。だが、クォン氏が求めることができる働き口は清掃と食堂仕事など今までしたことのない仕事が大部分だった。
クォン氏は1か月間あれこれ悩んでいたが、ソウル市の高齢者就職支援センターを通じてシニアドーセント採用公告に接することになった。保育園の教師をするほど子供たちに接することが好きだったクォン氏にはぴったりの仕事だった。シニアドーセントになったクォンさんは現在、外国人と学生たちを対象にキムチの歴史と文化、効能について説明している。クォン氏は「周辺の友人たちも引退後、適当な働き口を見つけられず苦労している」とし、「適性に合った働き口を連結してくれるプログラムが多くなれば役に立つだろう」と語る。
2.住居問題
高齢者住宅の普及も貧困問題の解決のために拡大されなければならない。韓国土地住宅公社(LH)のような公共機関では、低所得高齢者のために低価格で住宅を供給している。体の不自由な高齢者のために敷居を下げたり、安全バーを設置するなど、高齢者にやさしいのが特徴だ。高齢者住宅は現在3万世帯水準で、全体500万高齢世帯の1%にもならない。
様々な人とコミュニケーションできる住居空間を作ることも重要だ。高齢者が家に閉じ込められていると、いくら良い家を建てても社会的孤立を避けられない。洪城の引退農場の人々も単なる住居空間ではなく、老人たちが経済活動と余暇活動を共にしながら疎通する空間だ。
高齢者の孤立を防ぐためには「世代混合型」居住地も必要だ。例えばマンションを新しく建てるときに老人住宅を別の団地に分離してはいけないということもある。建国大学不動産学科のユ・ソンジョン教授は「老人と新婚夫婦、青年が一つの空間で交わることができるように住宅関連法を整備しなければならない」として「老人たちが住居地で子供たちの安全を世話するなどそれなりの役割も探すことができる」と説明した。









