CrowdStrike社のセキュリティソフト更新時のエラーが原因で発生したWindowsPCのブルースクリーン障害。全世界が大混乱に陥りましたが、今後同様の問題が発生した際、我々ユーザーに打てる手はあるのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、この「ブルースクリーン障害」から得られる教訓の考察を試みています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:世界で発生したWindowsブルースクリーン障害――今回の問題から得られる教訓は何なのか
世界で発生したWindowsブルースクリーン障害――今回の問題から得られる教訓は何なのか
2024年7月19日に発生したWindowsPCによるブルースクリーン問題。CrowdStrikeが起こした大規模障害により、世界で850万台のWindowsPCが影響を受けたという。実際、アメリカなどでは航空会社のWindowsPCが使えず、飛行機の欠航を余儀なくされていた。
この手の障害が発生すると、テレビなどから「こうした状況に備えるために、ユーザーとしてはどんな準備をしておけばいいのか」と聞かれることがある。
例えば、2年前のKDDI通信障害であれば「大切な人とは複数の連絡手段を持っておく」というのが「ベストアンサー」のような気がしている。
KDDI以外にも副回線として通信契約を持っているのが理想だが、メインキャリアがいつの日か通信障害を起こすかも知れないと思いつつ、毎月、基本料金を支払い続けるというのは現実的ではない。
一方で、携帯電話だけでなく、LINEやメール、メッセンジャーなど複数の連絡手段を持っていれば、いざと言う時に大切な人や会社組織と連絡を続けることが可能だ。将来的にLINEが落ちることだって考えられる。LINEとしかつながっていない人とは別の手段でもつながっておくことが肝心だ。
そんななか、CrowdStrikeから得られる「教訓」は何だろうかと考えたのだが、正直、ベストアンサーが出なかった。
今回はWindowsPCで障害が出たので、企業としてはもうひとつMacでシステムを組んでおけば良いというのはあまりに現実離れしている。
先日、PC業界関係者と話をした際、「CrowdStrikeを入れている企業は、セキュリティ意識の高く、積極的に投資している会社に他ならない」と褒めていた。
これまでの常識として、セキュリティに対しては最新の製品、さらにアップデートも即座に実施することが、最善の方法であると言われてきた。しかし、今回の件は、前のめりでセキュリティ対策をしてきた企業、即座にアップデートしてきたからこそ、ブルースクリーンに直面するという、厄介な状況とも言える。
クラウドサービスなどはグローバルで導入が広がっているだけに、サービス提供者側のちょっとしたミスで障害が世界的に起こるというのは今後も繰り返されることだろう。
だからといって回避策の決定打があるかと言えば、企業も個人もどうすることもできないわけで、もはや「障害が起きたら、仕事は諦めて、家帰って酒飲んで寝る」ぐらいのスタンスでいるのが最も健全なのかも知れない。
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