韓国でも日本と同様、夏になるとセミの声が各所で聞こえてきます。しかし、その鳴き声はかなりの大きさで、長時間にわたるようで騒音状態なのだとか。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者は、韓国のセミ問題についてのあれこれを紹介しています。
セミの絶叫
夏の伝令使であるセミは、短くて3年、長くて17年まで地中にいるが、1か月ほど地上で暮らす習性のためか以前から文学の定番素材だった。
茶山(ダサン)=チョン・ヤクヨン(丁若ヨン)が書いた詩『消暑八事』(=ソソパルサ、暑さを退ける8つの方法)の一つは、東林聴蝉(トンリムチョンソン=東の森でセミの鳴き声を聞く)だった。
さらに朝鮮時代の王が政事を見る時に使った「イクソンクァン(翼蝉冠)」と臣下たちが使った「オサモ(烏紗帽)」はセミの羽をまねて作ったもので、セミが持つ5つの徳目を備え、民を治めようとする意志が含まれているという。セミを歌った現代詩の中では詩人アン・ドヒョンの詩「愛」の中の「夏が暑くてセミが鳴くのではなく、セミが鳴くから夏が暑いのだ」という文句は、定番で登場する常套句だ。
一時は王の帽子に影響を及ぼすほど貴重だと思われていたセミが、現代社会に入ってくる厄介者になった。昼夜を問わず大声で泣く声のためだ。「メンメンメン~」、「チイイ~」の音のために夜も眠れず騒音を訴える人が多い。これは韓国に限った現象ではない。
特に今年、米国では221年ぶりに「ブルード」(brood)として知られる周期セミである13年周期セミと17年周期セミが一度に現れた。数兆匹のセミの群れが現れ、映画「アルマゲドン」に比喩される「セミゲドン」現象と呼ばれたほどだ。
全世界のセミは3,000種余りに達すると知られている。環境部傘下の国立生態院と国立生物資源館によると、国内には2亜科(亞科)13種が報告されており、都心で発見されるセミは、マルメミ、チャムメミ、ツルメミ、エメミ、トルメミ、ユジメミの6種だ。メミは韓国語のセミの意。