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案の定炎上、河野太郎氏の「年末調整廃止」にはメリットも

次に河野太郎氏の政策ですが、年末調整廃止を提案して、現在は不評で炎上中のようです。もしかしたら、河野氏も勝てるとは思っていない中で、言っているのかもしれません。もっとも、その場合は選挙区対策というよりは、将来への布石でしょう。ですが、このアイディア、別の角度から見てゆく必要があるように思います。

この年末調整の廃止については、面倒だとか、税務署がパンクする、あるいはネットでできてもマイナ必須で管理強化だといった批判が殺到しています。ですが、この問題は2つの別の視点から考えるべきと思います。

まずは納税者意識の劇的向上が期待できるということです。現在、単一の勤務先に勤めて一定以下の収入の人は、年末調整といって「年間の所得税を計算して確定し、差額を調整する」という作業は、勤務先の企業がやってくれます。そして、その調整結果は給料の増減で調整されます。

ですが、調整と言っても多くの場合はそんなに大きな金額にはならないので、特に気づかないことがあります。とにかく、この年末調整があることで、納税者である給与所得者は、自分の年収がいくらで、どのように税額が計算されるのかを完全に会社任せにするわけで、極端な場合は増税や減税にも気づかないということがあります。

これを確定申告にすれば、少なくとも否が応でもネットの画面上などで年収額や、税金の計算の対象から差し引く「控除額」などを知ることができます。少なくとも、年間で自分がどのぐらい税金を納めているのかを、確認するということでは、年末調整の際に受け取る「源泉徴収票」のペラ紙よりは効果があります。

つまり、年末調整と比較すると、納税者意識は高まるし、税制への関心も高まると思うのです。会社任せの年末調整か、個人が納税する確定申告かということでは、そこには大きな違いがあると思います。

もう1つ問題なのは、個人情報の問題です。年税額の計算を会社に任せてそれで終わりにする年末調整制度のために、多くの給与所得者は家族構成、家族それぞれの年収、住宅ローンの状況など、個人情報を会社に申告する必要があります。勿論、「まとも」な会社の場合は、そうして集めた個人情報を悪用することはないと思います。

ですが、仮にハッキングや、一部の不心得者によって情報が漏洩する可能性は否定できません。ですが、仕事は全く関係のない個人情報を「年末調整のため」に勤務先に申告する、しかも税金計算のために原票を出したりするというのは、全く時代遅れの習慣だと思います。個人は個人で完結するという現代の価値観を重視するのであれば、確定申告に移行するのが正しいと思います。

河野氏もそうした議論をしたいのなら、しっかり言えばいいと思います。

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