【日朝関係】中国の脅威を抑える有効な手段となりうる北朝鮮との国交正常化

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中国に隷属していない北朝鮮

振り返れば、拉致問題で不誠実な対応を取りつづけていた北朝鮮に、日本が制裁を科して以来、北朝鮮の中国依存が年を追うごとに深まっている。今や中国は北朝鮮にとって経済的スポンサー、パトロンであると言っても過言ではない。しかし、経済的に支配されても、外交、軍事面では中国に隷属されてない。現に北朝鮮に中国の軍事基地もなければ、中国人民解放軍も駐屯していない。中国の核の傘の下にも入ってない。

北朝鮮は1953年の朝鮮戦争休戦後は半世紀以上にわたって安全保障を中国に依存してこなかった。日本や韓国のように安保を米国に任せて経済一本でやっていれば、最貧国に転落しなかったはずだ。

北朝鮮が中国やロシアに自らの安全保障を委ねなかったのは、国境を接している大国に軍事面で急所を握られれば、政治的にも従属、隷属されるとの危惧からだ。これは歴史から学んだ教訓である。

北朝鮮が2009年4月に人工衛星と称してテポドンを発射した際に中国は北朝鮮非難決議に同調した。北朝鮮はこの時「6か国協議は我々の平和的科学技術(人工衛星)開発まで妨害し、正常な経済発展までも抑制しようとする場に転落した」と非難し、「結局、我々を武装解除させ、なにもできないようにさせたうえで自分らが投げ与えるパンくずで延命させようとするのが他の参加国らの下心である」と「他の参加国」との表現を用い、6か国協議の議長国である中国に不満をぶつけた。

また、外務省声明では中国を「米国にへつらう追随勢力」との烙印まで押した。 当時の労働新聞(7月9日付)には「大国はやっても小国はやってはならないとの大国的見解も、小国は大国に無条件服従しなければならないとの支配的論理も認めないし、受け入れないのが我が人民だ」と述べ、必死に宥めようとする中国に反抗した。

故金正日総書記の対中感は複雑なものがあった。厳密に言えば、彼は親中派ではなかった。その証拠に金正日氏は父・金日成主席が1994年7月に死去し、権力を継承しても2000年5月まで6年間も訪中しなかった。

ウィキリークスが暴露した米外交文書によれば、2009年8月に訪朝した現代グループの女性オーナである玄貞恩氏に金総書記は「中国は信用が置けない」と洩らしていた。この女性オーナーからこのことを聞いた米国のスチーブンソン大使(当時)が本国に打電していたことで明らかになった。

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