中学二年で「一生、愚痴は言うまい」と決意させた“母からの教え”とは?

 

むしろ人がいいから、ちょっと余裕があると貯めたお金を困っている人に貸してしまって、もちろん返ってはきません。

近所のおばさんから「お母さんは食べ物がなくても、一つも愚痴を言わないで一所懸命やっているのだから、あんたたち甘えすぎたらいかんよ」と随分叱られました。

しかし私たちきょうだいは確かに甘えてはいたかもしれませんが、これ以上母に心配はかけられないと皆思っておりました。

少し分別がつくようになった中学二年の頃、「困ることがあったら言ってください」と母に言いましたら、それとは全然角度を変えた言い方で私を諭してくれましたね。

「明日食べるお米がないからといって愚痴を言わないよ」と。

「お母さん、なぜですか」

「あんたがね、大きくなって社会に出てそれなりの努力をして、何か責任のあるような立場になった時、私がいま、愚痴を言ったらおまえはその壁の前で必ず愚痴を言う。

だからおまえが壁にぶつかった時、『ああ、お母さんはよく愚痴を言わずに乗り越えたな、お母さんありがとう』、私はそう言われる母になりたい」

と言ったのです。

私は中学二年でしたが、母の孝養のために一生愚痴は言うまいと、この時決めました。

試練を乗り越えるなんて、何も分からない時でしたけれども、母の生き方が私に誓うことを教え、乗り越えることを教えてくれたんです。

※本記事は月刊『致知』2006年12月号より一部抜粋・編集したものです。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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