石破総理に足りない「神レベルの演技力」と「安倍になる勇気」トランプ外交に正面からぶつかれば日本は破滅する

20241203ishiba-shigeru_eye
 

トランプ次期米大統領は来年1月20日に就任予定。日本の石破総理は「トランプ外交」に上手く対応できるのか?早くも各方面から不安の声があがっている。これに関して、2025年の石破氏には「最高レベルの演技」と「安倍になる勇気」が必要になると指摘するのは米国在住作家の冷泉彰彦氏だ。もしも対応を間違えれば、誇張ではなく日本という国自体が破滅しかねないため、こと日米外交に関しては国内政争の具にすることなく“オールジャパン”で挑む必要があるという。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:またトラ外交への対処方法を考える

日本は「またトラ」外交にどう対処するべきか?

トランプ次期大統領の閣僚人事、ホワイトハウス人事、主要大使等の国務省人事がほぼ固まってきました。選挙前のトランプ本人の言動からは、ある程度予想されていた方向性に沿っているのは確かですが、それにしても、人事があまりに徹底的なことで、あらためてアメリカではサプライズの印象が広がっています。

今回は、特にトランプの志向している外交の方向性について、とりあえず見えている方向性と、現実に進行している国際情勢を照らし合わせながら、私たちがこの「またトラ」という現象を、どう理解すればいいのか、論点を整理したいと思います。

まず先に「個別の衝動」が存在するのがトランプ外交

独裁者との個別交渉を好み、同盟国の民主的な手続きを嫌うという奇怪な態度がトランプ外交にはあります。これを見ていると、トランプは危険な独裁者で、民主主義を破壊しているということになります。

ハッキリ言ってそうなのですが、そのように包括的な理解をして全否定をしても、そこからは具体的な対策は出てきません。

これは石破茂氏のような、恐らくは「トランプ的な人格とは合わなさそうな人」の場合に勘違いしやすいので注意が必要です。トランプは独裁国の側の人間で、ファシストだという「レッテル貼り」をしてしまうと、そこで思考が止まってしまうのです。これではいけません。

どうして、トランプ主義があのような外交方針を掲げているのかは、もっともっと考察が必要です。注視すればするほど、イヤな気分になるというのはよく分かるのですが、そこで立ち止まっていてはダメだと思います。

トランプの外交に「大方針」はない

まず、確認しておきたいのは、トランプの外交というのは「大方針」があって、そこから順次具体策を考えるように思考を「下ろしていく」ものではないということです。

むしろ反対であって、つまり個別の衝動とか情念のようなものがあって、それが重なったりまとまったりしながら、外交方針「らしき」ものが形成されていく、そんな順序なのだと思います。

トランプ外交を構成する衝動や情念に関して、まず指摘できるのはアメリカ国内のエリートへの激しい反発という感情です。そして、これまでエリートたちが維持してきた「現状」を破壊したいという衝動が続いています。

print
いま読まれてます

  • 石破総理に足りない「神レベルの演技力」と「安倍になる勇気」トランプ外交に正面からぶつかれば日本は破滅する
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け