ただし「おまえは敵か味方か」を判別する感覚は異常に鋭い
では、トランプ外交は衝動的な感情論の寄せ集めであり、とにかく大過なく4年が過ぎるように傍観していればいいのかというと、そう簡単ではありません。
それは、トランプという人間、そしてトランプ派というのは、相手が敵か味方かを判別する感覚が異常に鋭いからです。
そして一旦敵とにらまれたら「ネチネチと攻撃」を続けます。そして、そこで真に受けて論争を仕掛けようものなら、相手が激怒するような誹謗中傷を繰り出して、どんどん自滅に追い込むのです。
2016年の最初の当選からトランプ第一次政権の時代において、日本は、当時の安倍総理を外務省と官邸がしっかり支える中で、「安倍と日本は敵ではない」という「演技」を極めてハイレベルにやり通しました。
天皇皇后両陛下までが、当時は国際社会からバカにされていたメラニア夫人をターゲットに、ハイレベルな腹芸を展開して「メロメロにさせる」ことに成功したのでした。
一部には、日本のこうした態度は卑屈であり、国家の威信という観点から、また暴言や性差別を平気でやるトランプに屈したという印象論から「安倍外交はダメだ」的な批判がありました。もしかしたら、石破茂氏などは、そのような印象を持っていたかもしれませんが、これは違うのです。
トランプとその背後の支持者は、いわば宇宙人なのですから、「味方だよ」と思わせて暴発を防ぐのが国益だという、冷徹な理解が何としても必要です。