中3死傷、柏市夫婦殺人…中高年男性の「悪意」に日本社会が敗れる根本理由。犯罪抑止に必要なのは懲罰か保護か?

 

悪事に手を染める前の“犯罪予備軍”に寄り添えるか

それとは別に、今回の北九州や柏の事件もそうで、トラブルが有るのなら弁護士ですが、仮にトラブルが異常な一線を超えるかもしれないという段階になったとします。そこに一方の当事者にある種の逸脱があって、専門家なら救えるかもしれないという場合はあります。そうしたケースで、警察しか相談相手がいない、そして警察は犯罪行為がなければ動けないというのですと、手詰まりになります。

以下は仮の話になりますが、資産はあるが家庭のトラブルで心に傷を抱えている単身の中高年だとか、金銭トラブルで感情が抑えられなくなるという種類の人がいるとします。

仮にその人が、犯行に及んでしまったら断罪も必要だし、応報もある程度は必要になります。ですが、一線を超える前に必要なのは処罰ではなく支援者なのだと思います。

人を殺めてしまう前に、その一線を超える前にどうやって支援をするか、そして支援をすることで被害を未然に防ぐのかという点では、我々の社会はあまりにも未防備、未整備だと思うのです。これは、北九州、柏、ドイツいずれも同じことです。

日本もドイツも、そしてアメリカもそうですが、21世紀の先進国というのは、知的産業が最も高い付加価値を生む社会です。そして個人についても、知的付加価値創出の能力で大きな格差を生む社会です。

そんな中で、トランプ運動というのは、この格差に対する異議申し立てという面を持っています。しかも、特にトランプ運動が目指しているのは、その異議というのは、金銭だけでは精算できない、つまり名誉という心理面の精算も必要だという点です。

ですが、これも不可能に近い話です。AIを使う側にはなれないが、ロデオは得意だとか、射撃が得意だという人にカネはともかく、名誉まで与えるには乱世であったり、開拓時代の荒野まで再現しないといけないからです。

ということは、21世紀の先進国においては、知的付加価値創出の能力の低い人の名誉を下支えする仕組みというのは難しいということになります。

その場合に留意しなくてはならないのはやはりメンタルの崩壊で、これが犯罪やテロに結びつかないように予備軍をどう救済するかというのは大きな課題になると思います。

中国の場合も不動産バブル崩壊の余波で、「無敵の人の犯罪」が社会問題になっています。この中国の場合も、死刑とか「執行猶予付きの死刑」などで予備軍を脅しても犯罪率抑制の効果は疑問です。

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