「いじめを放置しても問題となるのはごく僅か」という現実
できない人が突然できるようになることはない。努力を続け、経験を積み、人は成長していくものである。被害者への寄り添いがいかなるものか、最低限の配慮もできず、二次被害を発生させ、問題を起こしてもその終息にしか力を入れない。
なぜ?という洞察が無く、反省もないから何度も何度も同じような問題を繰り返すことになるわけだ。他の業界のように問題が大きく膨らまないのは、単に学生には小学校なら6年、中学校なら3年、高校なら3年と期間があり、卒業してしまえば終わりという感覚がある。一方で、馬鹿と争うほど無駄な時間がないと合理的な判断をする者、争うことができず泣き寝入る以外はない人もおり、問題を放置しても事実問題となるケースはごく僅かという現実もあろう。
「いじめの重大事態ガイドライン」を読めば一目瞭然
こうした場合、特に公立校であれば、教育委員会に対応を願い出るという手段を取ることができる。本件ケースでは心療内科で診断を受ければ、被害女子生徒の心理的な状況から適応障害だと診断される可能性は濃厚であろうし、すでに欠席日数は30日を超えていることから、いじめ防止対策推進法によればいじめによる不登校となり、重大事態いじめの要件を満たす。
「重大事態いじめ申し立ての様式はない」という大ウソ
法第28条第1項において、学校の設置者及び学校は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」(第1号)又は「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(第2号)は、「当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする」とされている。
つまり、現状ではいじめとしては重大事態となり、その対応は文科省が設置した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の通りの対応が求められるところだ。確認する限り、本来必要な首長への報告もされておらず、町の教育委員会も事態を把握していながら報告に至っていない。
勉強不足の団体の中には、「重大事態いじめの申し立て」の様式はないというが、実際はある。
文科省ホームページには、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」があり、その別紙に申請様式がある。
口頭で言っても「言った言わない」で有耶無耶にされることも常だから、最低限、形に残す必要があろう。


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