日本をトランプ主義から救うのは「日中同盟」か「日露同盟」か?在日米軍撤退に現実味、ビジウヨファンタジーで国は守れず

 

在日米軍撤退!そのとき日本はどう振る舞うべきか?

もちろん、先々週の石破=トランプ会談では、日米安保の現状維持が確認されました。国境線も正義のありかも完全に書き換えられるかもしれないウクライナ情勢と比較すれば、東アジアについて、トランプ自身の口から「現状維持」という約束を引き出した石破氏の仕事は大きく評価していいと思います。

ですが、仮にNATO崩壊となった場合は、時間差で日米安保、米韓安保の崩壊も覚悟しなくてはならなくなります。では、そのような最悪シナリオを想定して、日本はどう振る舞ったら良いのでしょうか? 以下は全くの思考実験です。読者の皆さまの自由なご議論の材料にしていただければと思います。

論点1:日本はどの国と同盟関係を結ぶのか?

論点は2点あります。

1つは同盟関係です。トランプの、あるいはその後継者によって日米安保が否定され、在日米軍が引き上げるとなった場合、日本は一体誰と組んで安全を確保したら良いのでしょうか? これは非常に難しい問題です。

まず大事なのは、中国とロシアに挟撃(はさみ撃ち)されないことです。仮に挟撃された場合は、作戦的に防衛が難しいだけでなく、戦闘が「占領して活用する」という目的から、「破壊して折半」という性格に変わります。これは日本にとって最悪です。

では、中国かロシアのどちらと同盟関係を構築するかですが、経済的な関係、過去の歴史的経緯を考えると一長一短があります。ロシアと組む場合は、現在の軍事同盟関係が継続する場合は北朝鮮が同盟に入ってきます。仮に、これを嫌って韓国が中国と組んで対抗するようですと、地政学的に対馬海峡の安全確保が面倒になります。

また、ロシアの経済はどう考えても化石燃料依存で、そうなると資源の枯渇という事態は否定できません。人口減で先行きの暗い日本が、同じく先行きの暗いロシアと組んで、しかも中国は敵に回すというのは構図として無理があります。

そうなると、中国と緩い同盟関係を結ぶというのが一つの選択肢になります。条件としては、中ロが冷戦末期のように仲違いをしていることが日本には有利になります。ですから、中ロを引き裂く工作というのが一種の前提になります。また、韓国が日中陣営に入って、北朝鮮がロシアとの同盟を維持していれば、一番ホットな対立は38度線になるので、日本のリスクは低減されます。

もう一度申し上げますが、アメリカが日米安保を破棄して、在日米軍が消えた場合に、ロシアと中国の双方と同時に関係悪化を進めるのは悪手です。その場合は、例えばですが、アメリカに頭を下げてでも空母打撃群のプレゼンスを維持してもらうなどの対策が必要です。自衛隊だけで二正面作戦を抑止するというのはリスクが大き過ぎます。

例えばですが、アメリカが安保を解消する過程で、まったくフレンドリーではない態度を取り、日本は国家の威信にかけて、どうしても頭を下げるわけにはいかないという展開もあり得ると思います。その場合ですが、日本が空母を造り、新世代戦闘機を製造して運用するというのは、恐らく非現実的だと思います。

ですから、アメリカが頼りにならない、中ロが日本を挟撃する可能性があるという場合には、最後の手段として英仏との何らかの同盟を構築して国家の延命を図るべきだと思います。日英の絆は明治以来の国家的な交流として確かなものがあります。フランスの場合も同様です。仮に、NATOが壊れても、英仏が最低限の良好な関係を維持しているのなら、その枠組みに何とか日本が繋がり、そこで国家維持のための最低限の抑止システムを構築するということは考慮すべきです。

日本は人しか資源がない一方で、その人的資源はどんどん減って行く中では、侵略しても意味がないので、誰も襲っては来ないだろうという意見もあるかもしれません。ですが、残念なことに、明治以来の不幸な歴史の延長で、日本という国は仮想敵に設定することで、各国の右派ポピュリズムに訴える存在になっています。

これはロシアにとっても、南北朝鮮にとっても、そして中華圏にとっても同じです。ですから、丸腰で全方位外交をしていれば安全というのは甘いと思います。何らかの安全保障政策による十分な抑止力バランスの構築というのは避けて通れません。

アメリカが逃げたら中国(韓国も引き込む)、中国と上手くいかず孤立の危険があれば英仏という格好で、何らかのアライアンス、つまり同盟関係を構築して安全を確保するというのが非常に大切になってきます。東アジアにおいて激動の兆候が出てきて、アメリカが逃げ、日本が英仏と組んだ場合には、韓国は自ら接近してくると思います。

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