日本をトランプ主義から救うのは「日中同盟」か「日露同盟」か?在日米軍撤退に現実味、ビジウヨファンタジーで国は守れず

 

論点2:日本が譲れない「国のかたち」をどう設定するか?

2番目の論点は、日本の国のかたちです。アメリカが頼りにならない、場合によっては安保が破棄されて米軍が撤退するという場合に、日本はどのような国の姿、国のコンセプトを構築したら良いのでしょうか。これはかなり重要な問題です。

まず中国と組む場合ですが、中国は当面の間は不動産バブルの超長期償却を続けます。その期間は、統制を強めて腐敗と戦う現状の権力集中を続けるしかありません。では、その中国と組む場合は日本も権威主義に従う必要があるかというと、これは突っぱねてもいいと思います。軍事外交では裏切らないが、別の国で制度が違うので日本は民主国で、天皇制度も維持しているということで、お互いにウィンウィンの関係にすべきです。

仮に英仏と組む場合も同様です。日本は日本式の民主主義を守り、天皇制度を守り、独特の伝統文化を守るということで、これは英仏の場合はリスペクトをしてくれると思います。

さらに、米軍が出ていく場合は、仮に中国と組むにしても、英仏と組むにしても自衛隊とか狭義の専守防衛などということでは責任は果たせません。ですから、正規軍を持ち、敵基地攻撃能力という名の抑止力の自己負担もすべきだと思います。核武装は、ここで名前の挙がった中英仏の3カ国の場合は核保有国ですので、その傘に入る格好でいいと思います。唯一の被爆国として、核武装は国のかたちを歪めることになるからです。

これは国家観の問題になりますが、軍事面での非核国家というアイデンティティを、通常兵器によって練度を高めた正規軍で守るという形になるのではと思います。また、日本が非核を貫く中で、朝鮮半島の非核化も一貫して強く主張すべきです。

国内ビジネス右翼の「甘え」はもう許されない

ただし、1点だけ注意しなくてはいけないのは、第二次大戦の評価です。米軍が出て行って場合によっては正規軍による部分的な自主武装ということになれば、例えば靖国参拝とか東京裁判の否定などをして国の名誉を高めたいなどと思うグループがあると思います。

ですが、これは逆だと思います。少なくとも国際連合が存続する間は、第二次大戦を最終的な世界大戦として、以降は安保理メンバーに拒否権を与えて世界大戦を抑止することになっています。同時に枢軸日本は旧敵国というのは理念的に有効になります。ちなみに、国連憲章の旧敵国条項は様々な決議により事実上無効化されていますし、何よりも国連(イコール連合国)に加盟している戦後日本は枢軸国ではありません。

そうなのですが、仮に枢軸日本の名誉を回復したいということになれば、これは国連憲章には違反します。また仮想敵側から、日本を攻撃することが合法であるかのような口実を与えるし、日本の他国との同盟関係を引き裂く工作の口実にもなります。

靖国参拝や東京裁判の否定論議については、アメリカは漠然と「許している」ような立場を取ってきました。これは議論が「国内向けの人畜無害」であり、仮に日本が国際社会に立ち向かうようなことがあれば「日米安保、在日米軍が瓶のフタ」になって防止することになっていたからです。

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つまりアマチュアの商業右翼などが、アメリカにフタをされた瓶の中で、国内向けに躍っていた人畜無害なダンスというわけです。ですが、アメリカが頼りにならず、日本が自主武装して中国なり、英仏と組む場合には、このようないい加減な甘えた姿勢は許されません。

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