森永卓郎さん逝去で痛感した「がんは知らぬが仏」の効用
<中略>
さて、私のYouTube「和田秀樹チャンネル」で森永卓郎さんのがん闘病は、間違えて抗がん剤を打ったことをのければ的を射たものだという話の流れの中で、最近、毎日、フルコースのようなものを食べているのに、むしろ体重が減っている話をした。
● 【最後に衝撃告白】森永卓郎さんについて – YouTube
現在BMIは22~23、一時期は25以上あったから理想的な体型といえるのだが、実際は25~30の人がいちばん長生きしているので、ちっとも喜べない。
特別に運動を増やしているわけではなく、むしろタクシーを頻繁に使うようになったのだから、どう考えてもおかしい。やはり、どこかにがんが隠れていると私は考えている。
それをチャンネルで言ったら、ものすごい数で心配のコメントをいただいた。ほとんどのものがちゃんと調べた方がいいというものだった。
ただ、ちゃんと調べてがんが見つかれば、なんらかの治療が強要されるだろうし、死期がわかるのは、残りのワインを飲むとか、これからの道筋をつけるのに便利ではあるが、やはり気分のいいものではない。
浴風会という高齢者専門の総合病院に勤めていたときに、がんというのは知らぬが仏というのが理想ということを痛感した。年間100人くらい解剖するのだが、85歳をすぎて体中にがんのない人はいない。
ところが死因ががんで死ぬ人は3人に一人だ。残りの3分の2はがんを知らないまま死んでいく。
実はがんというのは、よほど運悪く、骨に転移したり、神経にあたったりしなければ、そう痛い病気ではない。もちろん痛い場合はめちゃくちゃに痛いので、モルヒネなど使う必要があるが、そうでないことのほうがずっと多い。
私も、このまま放っておいて、痛みがひどければ、もちろんモルヒネを使うが、そうでなければ知らぬが仏で死んでいきたい。
ということで、私が本当にがんであるかどうかは神のみぞ知ることで、心配してくれる人には悪いが、糖尿病がひどいせいで(前もそういう際に体重が落ちた)体重が落ちているのか、がんなのかはあと3~5年たてばわかると思うし、毎月2キロくらい体重が落ちるなら、あと1~2年かもしれない。
今でも近藤誠先生のがん理論を批判する人はいる。転移をしない早期がんが、途中から転移をする進行がんに変わることがないという理論に対して批判する医師はとくに多い。
私もまったくそういうことがないとは思わないが、そんなに多いとは思えない。1センチで見つかるときには、一つのがん細胞ができて10年めくらいなのだが、転移をするがんなら、それを取ってもその10年のうちにどこかに転移しているし、転移をしないがんならあと10年転移をしないという説は私には説得力がある。
いずれにせよ、神様にしかわからないことを人間がわかる気になっているのは僭越な話だし、医学は発展途上の学問で、まだそんなにレベルが高いものではないというのが、長年医者をやってきた私の結論だ。
私がいつ死ぬかなんて神様しか知らないし、それを知ろうとするようなおこがましいことはしないことを理解してほしい。
【関連】【精神科医・和田秀樹】闇バイトは「警察の身内」が狙われるまでなくならず/なぜ自民党は「集団犯罪の厳罰化」を嫌がるのか?
(本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2025年2月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。本号ではこれ以外にも、トランプ米大統領やウクライナ問題について和田さんが本音を語っています)
この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ
※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥880/月(税込)初月無料 毎週土曜日(年末年始を除く)
月の途中でも全ての号が届きます
【関連】【精神科医・和田秀樹】私が銀座で目撃した石破総理の「ルール違反」/日本の政治家は靖國参拝の前に原発処理水を飲め(私なら飲める)
image by : X(@兵庫県知事 さいとう元彦)