トランプ大統領が仕掛ける「関税戦争」に一歩も引かない構えを見せる習近平政権。しかしその一方で彼らは、西側諸国に対する「民主主義の破壊」とも言うべき工作を同時に進めてもいるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、4月末に行われるカナダの総選挙への中国の介入疑惑を紹介するとともに、習政権の思惑を解説。その上で、今夏に参院選を控える日本にも中国への警戒を呼びかけています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】トランプ関税の影で、中国の選挙介入に警戒せよ
中国への警戒を怠るな。トランプ関税の影で各国への選挙介入を目論む習近平政権
● 中国系アプリがカーニー首相の虚偽情報拡散か、カナダ総選挙控え
カナダ当局は、4月7日、中国のSNSアプリである「微信(ウィーチャット)」で、最も人気のある「Youli-Youmian」(有理児有面)というニュースアカウントが、4月28日に行われるカナダの総選挙に影響を与えようとして、マーク・カーニー首相に関する虚偽情報を拡散していると主張しました。
当局の発表によると、ウィーチャットでの情報工作では、カナダに住む中国人コミュニティなどに向けて、意図的かつ不正確な方法で情報を拡散していると指摘、また、カナダ政府によると、このアカウントは中国共産党と関連があるということです。
カーニー首相は、先月、支持率低迷のために辞任したトルドー首相の後釜として、自由党党首およびカナダ首相に就任しました。
このニュースについては、台湾の「自由時報」も詳しく報じています。
それによると、この情報はカナダの選挙安全保障・諜報脅威ワーキンググループ(SITE)によるもので、この作戦にはカーニー首相および彼が党首を務める自由党に関する肯定的なシナリオと否定的なシナリオの両方が含まれていることを観察したとのこと。
これらの情報は、非常に短期間に同じ見出しが多数の海外情報源に掲載されることであり、不自然な情報拡散パターンを示唆しているといいます。
一方、保守党のマイケル・チョン議員は、今回の事件は北京が自由党の再選を望んでいることの表れだと批判しました。また、自由党は過去10年間にわたる北京のカナダ民主主義への干渉を放置していると非難しています。
彼は、カーニー首相がトランプ氏に対して「タフ」であったことを示唆し、肯定的に扱う投稿を強調しました。
要するに、中国政府がトランプに対抗的なカーニー氏を支援しているというわけです。
カナダ自由党は、中道左派の自由主義政党ですが、中国などに対しても人権外交などで厳しい態度をとってきました。たとえば2021年にはアメリカの要請を受けて、ファーウェイの副会長を詐欺疑惑で身柄拘束し、それが原因で中国との関係が冷え込み、中国でカナダ人が拘束されるといった報復を受けたこともありました。
● ファーウェイ副会長が米と司法取引、中国へ帰還 中国拘束のカナダ人2人も解放
加えて、トルドー前首相も、中国による人質外交などに反発し、関係正常化は不可能だと言い続けてきました。
● カナダ首相「対中関係改善の余地ない」-強硬な外交政策で正常化不能
その一方で、難民保護や難民支援に尽力しており、トランプ大統領からは、そのことがアメリカへの不法移民や薬物の流入を招いていると批判されてもいました。
また、ウクライナ戦争においては徹底したウクライナ支援を主導してきたこともあり、トランプ大統領とは対立する場面も多くなっていました。
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