韓国の尹大統領が戒厳令を発布せざるをえなかった背景
そのあとを継いだのがカーニー首相ですが、このように反トランプ姿勢をとる自由党を推すことで、アメリカとカナダの対立が激化することを中国は期待しているのでしょう。
自由党のスポークスマンは、カナダには外国からの干渉を検知し、抑止し、対抗し、無力化するための確立されたメカニズムがあると反論し、SITEもこの出来事が限定的な影響しか与えず、選挙の公正さを損なうことはないと判断したと繰り返しています。
もちろん在カナダ中国大使館の報道官は、「中国はカナダの内政に干渉したことはないし、するつもりもない」と疑惑を否定。また、ソーシャルメディア上の個人のコメントに基づく中国政府への中傷キャンペーンは「不合理で根拠がない」と批判しました。
昨年発表された報告書によると、過去2回の選挙で中国が介入を試みたが、結果を変えることはできなかったといいますが、実際にカナダの調査委員会は中国の選挙介入を認定し、政府に対策を要請しています。
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6月3日には韓国で大統領選挙が行われます。憲法裁判所が尹錫悦大統領による戒厳令を違法として、免職・失職したことにともなうものですが、そもそも尹大統領が戒厳令を発布せざるをえなかった背景に、「前回の国会議員選挙が中国により不正操作された」という疑惑がありました。
この選挙の結果、尹錫悦政権はレームダック化してしまい、戒厳令に走らざるをえなかったといわれており、そう信じている韓国人も少なくありません。
実際、中国大使館前で反中デモも起こっており、現地にいる台湾人にとばっちりも起きているようです。
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最大野党である「共に民主党」の代表だった李在明も出馬予定ですが、親中・親北であることは間違いありません。
これまで李氏は尹錫悦大統領の親米姿勢および対中国外交政策を非難し、中国メディアもそうした李氏の言葉を大きく扱ってきました。尹錫悦政権が韓米日の結束を強化する一方で、そのことを批判する李氏を中国が友好的に考えているという解釈も出ていました。
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中国がさまざまな国で選挙介入していることは、すでに明らかであり、台湾でも中国発フェイクニュースが確認されています。今年は日本でも参議院選挙があります。
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トランプ関税とそれによる世界的混乱が注目を浴びていますが、中国の選挙介入こそが民主主義の脅威であり、貿易戦争の傍ら、中国が静かに魔手を伸ばしてくることに警戒を怠ってはいけません。
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