「上納」や「接待」に利用される女子アナたち。海外では通用せぬ日本独自の文化がもたらした“フジ中居問題”

 

相次ぐセクハラ・パワハラ・ブラック企業問題の核心

ことほどさように、一連のフジ・中居正広問題、あるいは日本企業で相次ぐセクハラ・パワハラ・ブラック企業問題の核心は、日本人の薄い法意識にある。

日本社会における法意識の薄さは、明治期に欧米から急速に導入された近代法体系と、従来の日本固有の共同体規範との間に生じた大きなギャップから生まれた。

日本社会の「和」を重視する伝統的な紛争解決慣行は、個人の権利主張を抑制し、山本七平が「空気の支配」と表現したように、集団調和が論理的な法規範に優先される社会的風土を形成してきた。

フジ・中居問題は、テレビ局という一見すると近代社会の情報伝達ツールの場となるテレビ局の場に、「義理と人情」という前近代的な日本社会の産物が持ち込まれて発生したと言ってよい。

結論として、まず求められるのは「法化」だ。「法化」とは、社会のさまざまな問題や紛争に対して、従来は慣習や非公式なルール、当事者同士の話し合いなどで解決されていた領域に、法律(制定法)や司法の仕組みが積極的に介入し、法的な規範や手続きによって解決を図る傾向や過程を指す概念である。

法教育の再構築や市民参加型のガバナンス、内部通報者保護や第三者委員会の権限強化など、多層的な制度改革も求められる。

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引用・参考文献

(*1)「上納文化『フジテレビにはあった』と第三者委員会は断じた 中居正広氏の性暴力は『業務の延長線上』だった」東京新聞 2025年3月31日

(*2)久米功一・中村天江「日・米・中の管理職の働き方――ジョブ型雇用を目指す日本企業への示唆」日本労働研究雑誌 No.725 2020年12月号

(*3) 広瀬元康「海外腐敗行為防止法とは?各国の法規制、処罰事例、典型例など」BUSINESS LAWYERS 2023年11月06日

(『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』2025年4月27日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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