実は怖い「パンダ外交」と「自民親中派のドン」二階俊博氏の功罪。パンダ王国和歌山ほか地方に浸透する中国の狙いとは?

 

南紀白浜「アドベンチャーワールド」を援助した二階氏の功罪

パンダが「外交手段」として初めて使われたのは1972年。アメリカのニクソン大統領が電撃訪中を果たした際、中国はアメリカに2頭のジャイアントパンダを贈った。パンダの「希少性」と「愛らしさ」が、国家イメージをやわらかく伝える武器になった。

以来、中国は国家間の関係改善や友好ムードを高めたいとき、パンダの貸与や寄贈を行ってきた。

日本でも1972年、日中国交正常化を機にカンカンとランランが上野動物園にやってきて、その人気は社会現象となった。阪神淡路大震災後には神戸・王子動物園にも二頭のパンダが来園した。

では、なぜもう一つのパンダ派遣先が和歌山だったのかということだが、もともとアドベンチャーワールドは、1980年代に独自ルートで中国と交渉を始めていた。しかし、国家レベルの支援を受けるには限界があった。そこへ手を差し伸べたのが、当時、運輸族・観光族として頭角を現しつつあった二階氏だった。

二階氏は官僚機構、地元企業と中国政府を結びつけるパイプ役となり、アドベンチャーワールドへのパンダ貸与に道を開いた。この特別待遇は、単なる一時的なものではなく、以後30年にわたって続いてきた。その結果、和歌山は自力でパンダ繁殖を成功させた国内唯一の場所となった。

二階俊博氏といえば、「観光立国推進のドン」としても知られる。2010年代後半、日本政府が外国人観光客4000万人計画を掲げた裏には、二階氏の強い働きかけがあった。ビザ緩和、免税店拡大、インバウンド優遇政策……。これらの多くは、二階氏が観光業界や地方自治体と組んで政府に押し込んできたものであり、中国人観光客の爆買い需要への過度な依存を招いたとも言われている。

二階氏の地元・和歌山も観光客の人気スポットとなり、ホテル建設ラッシュが起きた。二階氏と関係の深い建設業界や地元企業への“恩恵”も指摘されてきた。「中国との絆」が利権ルートとして機能していた側面があった。(次ページに続く)

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