就職氷河期世代を騙す「支援策」の大ウソ。「氷河期の皆さんもギリギリ逃げ切れますよ詐欺」が日本を滅ぼすワケ

 

若年世代減少で“ねずみ講”の破綻は必至。ではどうする?

と、ここまでは最近、急に言われはじめた「氷河期世代が約10年で高齢者に」というスローガンの裏にある怪しさ満点のストーリーについてお話してきました。

では、氷河期の「逃げ切り」を演出して、氷河期から集票しようという与党や政府の意図があるのだとして、こうした考え方は「仕方がない」のでしょうか?それは違うと思います。

どんなに巧妙にやっても、厚生年金と国民年金を合体させて、副業や自営業収入まで累進させて社保を取るのであれば、国民負担率はごまかせてもダメです。結果的に国民の購買力を奪うからです。

「老後は面倒を見ないからNISAで自己責任」というのをどんどん拡大すれば、仮に日本の産業や労働の構造改革ができなければ、資金は海外に逃げるだけです。さらに言えば、この先は年齢1年あたりの労働人口が加速度的に減っているのですから、「より若い世代に搾取の連鎖」をしていくのにも限界があります。それがさらに少子化を加速度的に悪化させれば、本当に国が滅んでしまいます。

では、どうしたらいいのか?ここは、そもそも「どうして氷河期世代が生まれたのか」という原点に回帰するのがいいと思います。

氷河期世代が生まれたのは、バブル崩壊のせいではありません。タイミング的には、バブル崩壊が契機となりましたが、それが真の原因ではありません。具体的には3つの原因があったのです。

1つは、新卒一括採用です。4大卒の新卒が総合職採用され、30代まではハラスメントに耐えながら、各社自己流の過去のノウハウだけを注入されるという制度です。

2つ目は、メンバーシップ型採用です。各社は自己流の過去のノウハウを教えるのが好きですから、最初から専門的な知識を学んだ人材をジョブ型の専門職として取りたがりません。

3つ目は年功序列人事です。同期は横並びで出世させて、その上で管理職以上は競争させて役員候補を絞り込むわけで、そのためにはスタート地点で年齢が上の人材は邪魔です。

正確に言うと、「バブル崩壊」という危機に対して、この3つの馬鹿げた制度を守るために、一時的に一定期間だけ新卒採用を絞った、これが氷河期世代を生んだのでした。(次ページに続く)

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