なぜJTC(日本の伝統的大企業)は「無駄な会議」が好きなのか?わが国最大の暗部を徹底解剖!攻略法をマスターして同期に差をつけよう

 

独自の企業風土に頼るのは「実態が違法スレスレだから」

次の問題は、JTCによくある「企業風土が強すぎてスキルが他社では応用が効かない」ということです。これも本当にJTCあるあるで、この問題については「ノウハウが各社で独自に進化しすぎている」ので、他社では応用が効かないと思っている人が多いようですが、まったく違います。

この独自の企業文化については、用語という問題もあります。例えば、製品をより高性能にしたり、製造方法を革新することを、昔のトヨタでは「カイゼン」と言い、松下(後のパナ)では「良化(りょうか)」と言っていました。1980年代ぐらいまでは、トヨタで良化といったり、松下で改善とか言うと、こっぴどく怒られたらしいです。

独自の略語も多く、第2倉庫を「ニソウ」と呼んだり、関東研究所を「カンケン」と呼ぶとかいう内部ルールがあって、「にそう」って何ですか、とか尋ねると「お前は外様かバーカ」などと言われる、そんな文化もありました。

ちなみに、今でも一部の会社ではそうかもしれませんが、独自の社内用語があるということは、企業文化が強いので良いことだ、などという勘違い経営者がいることも、一種のJTCあるあるです。

まあ、この種のバカげたこだわりというのは、単に頭が悪いし効率が悪いというだけで、それ以上の弊害はないのかもしれません。弊害ということでは、多くの企業の「自己流経営」には、もっと深刻な問題があるのです。単にそこで獲得した経験知が他社では通用しないだけではない、深刻な問題です。

それは、その企業が違法ないし違法スレスレのグレーゾーンにある、ということです。特に、総務、経理、人事などの管理部門、いわゆるアドミの分野で「自己流経営」をやっている場合はほぼ9割がこれだと思います。

例えば、総務と経理が一緒に作る株主総会向けとか、株主向けの文書ですが、通常は会計事務所やコンサルの手を借りて、フォーマットに合わせていけば各社同じような作業になるはずです。

ですが、多くのJTCの場合はコソコソ、そしてコツコツと社内でやり、しかも独自の自己流プロセスでやっていたりします。おかしいのは、3月末に締め切った決算を、ちょうど今頃になっても必死になって残業しながらやっていて、株主総会のピークは6月だったりする、この異様な遅さです。その裏には、あの手この手で決算をよく見せたいとか、反対に悪く見せて節税したいなどの動機があります。

そこまでは企業ですから目的にかなっているとは言え、その方法論で限りなくグレーなことをやり、しかもやり続けるために「その企業でしか通用しない方法論」に仕立てるということがあります。経理部門の場合は、粉飾スレスレの会計処理の作業もそうですし、人事部門の場合は労基法違反を承知でコソコソ「ケチる」給与計算などは外注できないし、密告が怖いので社内で、しかも正社員だけで手作業でやっていたりするわけです。

とにかく、合法的にガラス張りの処理をするのなら、現在なら会計にしても、給与計算や労務管理にしても、出来合いのソフトがたくさんあります。日本でも外注処理を請け負う会社もたくさんあります。ですが、違法スレスレのゾーン、あるいは完全に違法なゾーンで仕事をして、チマチマと金をケチったり、経営陣の不正を隠し続ける必要がある場合は、まったく別です。透明な処理はできないし、そもそも合法的な定型処理には馴染みません。そこで企業独自の進め方ということになるのです。(次ページに続く)

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