実態なき正義のヒーロー「小泉進次郎侍」に斬り捨てられた玉木代表の不覚。“備蓄米はエサ”騒動で正論が敗れたワケ

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「5キロ2000円のコメ」政策で一躍、時の人となった小泉進次郎農水大臣。国会質疑で隙を見せた国民民主党の玉木雄一郎代表は「正義の味方、進次郎侍」に一刀両断され、大手マスメディアが連日「小泉劇場」を囃したてる。だが、はたしてこの勧善懲悪物語に中身はあるのだろうか?元全国紙社会部記者の新 恭氏が詳しく解説する。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:正義の味方・進次郎に背く者は全て悪と切り捨てる困った風潮

参院選前 国民民主・玉木代表に強い逆風

国民民主党・玉木雄一郎代表の旗色がこのところすこぶる悪い。

ユーチューブ動画で人気を博し、「手取りを増やす」という政策が共感を呼んで、一時は総理候補とも囁かれるほどだったのだが、いまやそれも夢物語のように思える。

躓きのきっかけは、参議院選の候補者擁立だった。比例代表の候補者として、元衆院議員で弁護士の山尾志桜里氏を擁立するという党の方針が伝わるや、保守層界隈から大きなブーイングが巻き起こった。

山尾氏は党の創設メンバーなのだが、不倫問題がもとで2021年6月に次期衆院選への不出馬を表明し、政界を去った。女系天皇を容認し、選択的夫婦別姓の導入に賛成するなどリベラル色も強い。

安倍晋三元首相が亡くなった後、バラバラに分裂した岩盤保守層の一部は、自民党から国民民主党に支持を移していたが、山尾氏擁立には我慢がならないようで、一転して国民民主を批判する声がSNSを中心に広がっている。

政党支持率で立憲民主に7か月ぶり逆転許す

参院選にさらなる飛躍を期す国民民主としては、できる限り多くの候補者を立てたい。それも、有力な。そのため参院選比例代表には山尾氏のほか、足立康史元衆院議員、須藤元気元参院議員、薬師寺道代元参院議員といった国会議員経験者を追加公認することに踏み切った。

だが、この人選には、そもそも疑問の声が多い。たとえば足立氏は品の悪い国会答弁でしばしば顰蹙を買った人物だ。なにも、破竹の勢いにある国民民主が、手垢のついた政治家を担ぎ出さなくてもという支持者の思いもあるだろう。

こうした状況は支持者の離反につながっているようで、政党支持率にはっきりと表れている。

5月31日、6月1日に行われたJNNの世論調査によると国民民主の政党支持率は前回から3.4ポイント下落し6.8%だった。立憲民主は2.6ポイント上昇し、8.2%。国民の支持率を立憲が上まわるのは去年の11月以来、7か月ぶりだ。

保守層を中心とする予想を超える反発に、玉木代表の悩みは深い。いまさら、信頼する山尾氏の公認を取り消すわけにもいかない。取り消したとしても、一貫性のなさを突かれ、逆効果になるおそれもある。(次ページに続く)

【関連】小泉農水大臣の「好かれたい病」を利用する自民農水族ドン。「コメ5kg2160円」で参院選勝ち確、農政改革に踏み込めない「進次郎のひ弱さ」まで計算か

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