ゼレンスキーがシベリア攻撃で犯した痛恨のミス
ロシアと中国が北朝鮮の核開発に懸念は示しても、制裁決議は阻止するために、どうしても北朝鮮に核開発およびミサイル技術の向上のための時間稼ぎを許すことに繋がっています。
特に今は、ロシアにとって、ウクライナでの戦争を継続するにあたり、北朝鮮はなくてはならないパートナーとして位置するため、北朝鮮絡みの案件でロシアが非難に回ることはありませんので、今後、北朝鮮の挑発の頻度と程度が上がることになっても、ウクライナでの借りを返すかのように北朝鮮支援に回るでしょう。
国際的な平和と安全の保障のために集って対策を協議することになっているはずの国連安保理は、その真の目的と役割を失い、すでに各国の思惑を助長させるための政治的・外交的な道具になってしまっており、現行の国際紛争の解決に貢献できる性格は期待できません。寂しい限りです。
ゆえにロシア・ウクライナ戦争も、イスラエル絡みの中東情勢も、これまでのような多国間調整プロセスでの解決が難しく、当事国とその関心国というMinilateralな取り組みに変わってきていますが、協議内容が安保理などでの議論の時と違い、さらに内輪だけの情報共有になってしまうため、有事の際に問題解決に向けた多面的な国際的プレッシャーをかけづらくなっているのが現実だと認識しています。
(中略)
では、ロシア・ウクライナ戦争はどうでしょうか?
これもご存じの通り、非常に難しく、様々な利害が複雑に絡み合った案件と言えます。
まず、超大国の一つ、そして安全保障理事会の常任理事国でもあるロシアがこの戦争の当事者となっていることが挙げられます。
ロシアにはロシアの大義があるというのが、ロシアの言い分であり、根本的な原因の除去が行われない限り、その追求のために戦争を続けるという立場です。
内容としては、「すでに2014年に一方的に編入したクリミア半島を国際法的にロシア領と認め、かつロシアが一方的に編入したウクライナ東南部4州全域のロシアへの帰属と、ウクライナ軍の完全撤退、ゼレンスキー大統領の退陣と親ロシア政権の樹立、ウクライナのNATOなどへの加入を永久的に凍結すること」など【欧米勢力の東進を止め、ロシアの国家安全保障を尊重すること】が挙げられていますが、実際のところは、プーチン大統領によるウクライナ全土の掌握が視野に入っており、旧ソ連時代のように、ロシア・ウクライナ・ベラルーシを核とした統治体系を作り、“裏切り者”であるバルト三国やジョージアなどを巻き込んで、各国の国内政治基盤を壊すことで、ロシアへの回帰を図るというグランドデザインが存在します。
今週に入って、ロシア・ウクライナ国境から4,300キロメートル離れたシベリアのイルクーツク州ベラヤ基地や、モスクワ近郊のイワノボ州イワノボ基地、リャザン州ティアギレボ基地、そして北部ムルマンスク州オレニア基地に対するウクライナ保安局(SBU)」による大規模無人機攻撃が行われ、ロシアのミサイル戦略に打撃を与えたという、新しい軍事的展開がありましたが、それでもロシアの軍事的な優位性は変わらず、昨夏のクルスク州への越境攻撃同様、ロシアにウクライナへの攻撃レベルを格段に上げる口実を与えてしまったように思われます(欧米の支援国の事前了承を得ていないことは、痛恨のミスではないでしょうか?)。
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