石破自民が国民に仕掛ける大胆詐欺「物価上昇を上回る賃上げ」が永久に実現しないワケ。インフレを満喫する財務省の狙いとは?

 

インフレをエンジョイする財務省。間もなく180度方針転換か?

その一方でほくそえんでいるのが財務省です。税金という政治家も震え上がる武器を持つ財務省の力は依然として大きいのですが、彼らの意向が政策の随所に現れています。

最終的には政府の拡張財政にメスを入れたいのですが、そこにたどり着くまでは税収増、金利コスト抑制を前面に出しています。日銀はこれにつかまっています。

財務省としては、インフレで税収を増やすことを歓迎します。

現に、このところ税収は上振れが続き、年間70兆円を超える税収を確保できています。インフレで消費税が増えるだけでなく、賃上げで所得が名目で増えると、税率の所得階層区分が引きあがり、社会保険料負担も所得増で引き上げられます。また値上げが通って企業収益が拡大し、法人税も増えます。

したがって財務省は、インフレが進むことを税収増の面で歓迎します。反面、インフレでは金利が上がり、国債などの金利コストも増えます。ところがここで、財務省は配下にある日銀をコントロールできるのです。

日銀には低金利で緩和を続けろと言い、国債の買い入れも続けさせ、国債利回りがインフレのわりに低く抑えられています。短期の政策金利も長期金利も実質金利は大幅なマイナスで、財務省に貢献しています。

インフレとデフレをうまく使い分けているわけで、日銀はインフレでも思い切った利上げができない状況にあります。

しかし昨今、基調的インフレ率がまだ低い、との日銀論理が通じなくなりつつあります。財務省としてもコメなどの物価高の中で金融緩和を続けさせることが難しくなってきました。

そこで財務省は、そろそろ戦略転換を図る可能性があります。つまり、放漫財政自体を許さない方向にかじを切ろうとしています。石破総理や森山幹事長が急に日本の財政は危機的状況と言い、財政赤字拡大をけん制するようになっています。

積極財政派の高市氏などが早速批判していますが、財務省は日銀の利上げを容認し、国債などの金利上昇を利用して財政支出の抑制に向かう可能性があるわけです。

【関連】石破総理を操る黒幕「米外交問題評議会」は新NISAをどう“利用”してきたか?日米選挙後にトレンド大転換も(斎藤満)

【関連】日本、まだ6月なのに暑すぎて大炎上! “四季崩壊”で変わる防災と経済…「ラニーニャ猛暑」の後には「冬の大寒波」到来か(斎藤満)

【関連】植田日銀の一発逆転、参院選後の7月末決定会合で「利上げ再開」か?「金利のある世界」石破政権内でも抵抗感薄く(斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2025年6月6日号「日本の物価対応、喜ぶのは誰か」の抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。当月配信済みバックナンバーもすぐに読めます。

この記事の著者・斎藤満さんのメルマガ

初月無料で読む

 

【関連】カネは借りるのではなく貸すもの。「借金する人間はみんな貧乏人」という資本主義の絶対法則を“逆用”したら何が起こるか?

【関連】日本人が異常大量死、「コロナワクチン大薬害」の戦犯を追及せよ。総括なしの“打たせ逃げ”を断じて許せぬ理由(作家・元国税調査官 大村大次郎)

image by: 首相官邸ホームページ

斎藤満この著者の記事一覧

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 マンさんの経済あらかると 』

【著者】 斎藤満 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月・水・金曜日

print
いま読まれてます

  • 石破自民が国民に仕掛ける大胆詐欺「物価上昇を上回る賃上げ」が永久に実現しないワケ。インフレを満喫する財務省の狙いとは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け