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国民民主・玉木雄一郎氏はなぜ「うさんくさい」のか?依存・集金・承認欲求、ポピュリズムですらない「推し活政治」の搾取構造

国民民主党の玉木雄一郎は、“会いに行ける党首”をアピールしているらしい。 東京都議選で石丸伸二の新党がボロ負けしたのを受けて、「ネットだけでは勝てない」などと今さらのように言い出した玉木だが、「スマホ中毒」「SNS政党」と揶揄されていることがよほど気になっているのか、「リアルでの街頭演説や握手会、あるいはサイン会、こういったものを積極的にやっていきたい」等と語っているのだ。 選挙と推し活を混同する玉木雄一郎。 SNSやライブ配信ツールにおける承認欲求と搾取の構造とは?(メルマガ『小林よしのりライジング』寄稿者、作家・泉美木蘭氏/本文より)
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:泉美木蘭のトンデモ見聞録・第366回「“推し活”する党首と承認欲求の地獄」

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“推し活”する党首、玉木雄一郎と承認欲求の地獄

国民民主党の玉木雄一郎は、“会いに行ける党首”をアピールしているらしい。

東京都議選で石丸伸二の新党がボロ負けしたのを受けて、「ネットだけでは勝てない」などと今さらのように言い出した玉木だが、「スマホ中毒」「SNS政党」と揶揄されていることがよほど気になっているのか、囲み取材でこう語っている。

「リアルとネットをうまく組み合わせて、シナジー効果を出していく」

「リアルでの街頭演説や握手会、あるいはサイン会、こういったものを積極的にやっていきたい」

出典:Yahoo!ニュース(2025年6月29日)

握手会? サイン会?どこのアイドルの話だ。塗れば塗るほど薄くなる、軽薄の重ね塗りである。

玉木は、選挙を「推し活」と捉えているらしい。

本来、政治家というのは、国家観や政策、信念を語り、有権者を説得して支持を集めていく存在のはずだ。 ところが玉木は、そういう手間を省きたいのだろう。

アイドルやアニメキャラの熱狂的なファンのことを「信者」と呼ぶが、玉木は、支持者をその「信者」感覚で見ていて、「推してもらうため」に活動しているのだ。

そもそも、「リアルとネット」なんて区分けをすること自体、ネットにどっぷりはまっている人間特有の感覚がにじみ出ている。

町へ出て人々に会ってまわる選挙戦を「ドブ板選挙」と言うし、個人演説会や街頭演説会を開いて聴衆と握手するなんてことは誰でもやっている。 それをわざわざ「握手会」と称するのだから、見ているのは、やっぱりネット。オタク層への「こんなボクを推してね」というアピールである。

だいたい、演説(リアル)とネット広告・SNSの併用なんて、珍しくもない。 それを「シナジー」などと言いなおすあたり、中身のなさと、何も言ってなさのシナジー効果だけが突出している。

玉木は、過去に党公式のYouTube番組で、街頭演説に集まった支持者のことを「彼女がいなそうな人が多かった」「かわいい女性もいましたよ。きれいな女性も」などと言ってヘラヘラ笑っていたことがある。 そもそも支持者をナメているのだ。

6月24日に日本外国特派員協会で行われた記者会見では、女性からの支持が伸びていないことについて「(うちの政策は)女性には理解するのが非常に難しいのだと思います」と発言。

幹事長の榛葉賀津也も、過去の定例会見で同じ趣旨の質問に対して「(女性にとっては)すこし言うことが難しいのかもしれない」と発言している。

女性を蔑視し、男性の支持者のこともナメていて、調子よく自己アピールをして「いいね!」を集めればなんとかなると考えている──それが「国民民主党」である。(次ページに続く)

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「推し活選挙サロン」と承認欲求

玉木がYouTubeでライブ配信を行って、視聴者からの投げ銭コメントを読み上げている様子についてはすでに報告した通りだ。(※小林よしのりライジング 540号「サイコパスとアイヒマンの集団・国民民主党」)

YouTubeのサムネイル画像を見ていると、とても政治家とは思えず、ネット空間でよく見かける「推され待ち」の人にしか見えない。

YouTubeたまきチャンネルのサムネイル

ネットで承認欲求を満たし合って、配信者と視聴者がお互いに“気持ち良く”なっていくうち、公私の境界はどんどん曖昧になっていく。

そりゃ、選挙と推し活を混同するのも、さもありなんという話だ。

「ボクを見てね」「ボクを推してね」「会いに来てね」

「みんなのこと好きだよ」「嫌いにならないでね」

「みんなが嫌いな奴とは、みんなの言う通りに縁切ったよ!」

「ここはみんなの居場所だよ」「じゃんじゃんリクエストしてね」……

誰かに認められたい【承認欲求】」と、「誰かとつながっていたい【所属欲求】」がごった煮になった空間で、次々と飛び交うチャットと戯れているうち、政治的信念とは無関係な、ただ居心地の良いサロンのような空間が完成してしまう。

玉木のYouTubeチャンネルは、いわば「玉木推し活選挙サロン」だ。 そこに集まるのは「ネト極右」である。差別したい、蔑視したい、男尊女卑でいたいという、超利己的な欲求を満たすために、“適当な誰か”を推すという世界なのだ。(次ページに続く)

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ライブ配信アプリが搾取する「カネと精神」

資本主義によって、金儲けのために地域共同体も家族もバラバラに分化されてしまった今、孤独になった人々の承認欲求と所属欲求が、ますます増大しているように思う。

もともと資本主義は、「あれが欲しい」「こんなことしてみたい」「ここに行ってみたい」という人々の欲望を刺激して、所有・消費させることで成り立っているから、経済は承認欲求によって支えられているという面があるだろう。

すっかり効率化されたコンビニやファミレスに行けば、いつでもどこでも、そう迷わずにある程度のものが食べられるし、衣料チェーン店に行けば、夏は涼しく、冬はあたたかい無難な衣類がすぐに手に入る。

ところが、物理的に必要なものが行き渡った社会のなかでは、バラバラになった、孤独な迷子が大量に生まれてしまった。

そこに合わせるように商売を発達させてきたのが、ネットの世界だろう。SNSやライブ配信ツールは、商売として、承認欲求と所属欲求の受け皿になるように作られている。

例えばYouTubeのライブ配信では、投げ銭額が高額なほどコメントが長時間表示されるので、注目を引いて読み上げられやすくなり、多くの人の目にも留まる。カネで承認欲求を満たして、新たな渇望感を刺激する仕組みだ。

だが、そこに投じられたカネの半分以上は、YouTubeに吸い上げられているのである。

YouTubeのほかにも、投げ銭機能のついたライブ配信アプリはたくさんあり、それぞれのアプリのなかで、日々大勢の人が、自分の承認欲求を満たそうとしている。

ある人は、見知らぬ人にカネをつぎ込み、ある人は、自分の心の底の欲求を一方的に配信者に投影し……。妄想にふけり、執着して、またカネをつぎ込むというくり返しだ。

配信を通じて知り合った人と「実際に会った」という話も、もはや珍しいものではなくなった。 配信では、ほとんどが加工された顔になっているから、会ったとたん幻滅したり、されたり、騙したり、騙されたりということもザラ。

今年3月には、配信者の女性にカネを吸い取られて憎悪を抱いた男が、ライブ配信中の女性の居場所を特定して、惨殺するという事件が起きた。 衝撃的なニュースではあったが、いかにも象徴的な出来事でもあり、似たような話はごろごろ転がっている。

感情がうごめくライブ配信は、誰がいくらカネを投げたか、その人が配信者からどう扱われているか、周りからどう見られているかが筒抜けになっているから、嫉妬も煽りやすい。請求書を見せられて、財布からクレジットカードを出して会計するという動作もないので、キャバクラなどよりはるかに大金を使ってしまう仕組みだと思う。(次ページに続く)

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“依存AI”の実験場「TikTok」

次世代の動画配信ツールとして、若年層に大流行している「TikTok」は、もっとえげつない。

アプリを使いはじめると、すぐに嗜好性や潜在欲求がデータ分析されて、その人が思わず見入ってしまう短尺動画が、次から次へと表示されるようになる。

動画を配信する側も、ほかのアプリに比べて、視聴者数や「いいね」の数が圧倒的に多いので、たちまち承認欲求が肥大化して依存してしまう。

TikTokの画面。 ライブ配信者がずらりと並ぶ。

また、ライブ配信者どうしで、制限時間5分での「投げ銭の多さ」を競うライブバトルという仕組みがあるのも「TikTok」の特徴だ。

配信者はあらかじめ、視聴者を集めておき、バトルがはじまったら、「さあさあ投げて投げて!」「もっとだ、もっとだ!」「いいぞいいぞ!」「来い、来い、来い!!」と半狂乱で絶叫しまくって視聴者を煽り、投げ銭をさせまくる。

TikTokバトルの様子。 画面上段の男性と女性が、それぞれ自分の視聴者に対して投げ銭を煽っている。

バトル後は、投げ銭額の多かった順に「貢献者」としてランキングが表示され、配信者から感謝されたり、他の視聴者から一目置かれたりするので、刹那の承認欲求が満たされるらしい。

高額の投げ銭をしてバトルを白熱させたり、劣勢だった配信者を勝たせて参加者を驚かせたりする「投げ師」と呼ばれる人間もいて、イベント週間になると、何十万、何百万と使う人がごろごろ現れる。

10日間のイベントで、投げ銭に1億円を使ったという男性の顔を見たが、30代半ばのベンチャー企業社長だった。

もちろん、飛び交った投げ銭は、半分以上が「TikTok」の売り上げになる。

「TikTok」を開発したのは、中国のITベンチャー・バイトダンス社だ。

バイトダンス社は、動画配信サービス業として事業をはじめたのではなく、当初から「AI開発」の企業だった。

開発テーマは、人間をいかにスマホアプリに長時間釘づけして、依存させることができるのかというもので、視線や反応、欲望、承認欲求などを組み込んだ実験成果の1つが、動画のライブ配信機能だったということだ。

昨年1年間の売り上げは1450億ドル以上、そのうち379億ドル(5兆4000億円以上)が、「投げ銭など」による売り上げと公表されている。

YouTubeもそうだが、どこまでも承認欲求を刺激しながら、ガンガン海外にカネを送金してしまうアプリなんか、危険と認識してさっさと規制しろと言いたくなる。

このように、ライブ配信は、カネと精神を巻き上げるための世界だ。

そこに無自覚にはまり込んで、“承認サロン”に居場所を求める政治家は危険だ。 政治は、誰かを推すゲームではない。 「ポピュリズム」という単語の枠では済まされない、地獄の入り口である。(その2に続きます)

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(メルマガ『小林よしのりライジング』2025年7月1日号より一部抜粋・敬称略。続きはメルマガ登録の上お楽しみください)

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image by: たまき雄一郎オフィシャルサイト

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