財務省の秘密警察部門、国税庁が「国会議員の不倫調査」を得意とするワケ。全国民監視の強大権力、分割急務(作家・元国税調査官 大村大次郎)

 

「脱税の証拠を掴む」という名目で愛人を調べ上げる

国税調査官は、事業に関するものであれば何でも見せてもらうことができます。

帳簿や領収書だけでなく、事業や仕事に関するあらゆる書類、データ、預貯金などの金融資産、不動産資産、自家用車などの固定資産なども調査することができます。

また「脱税の証拠」をつかむという名目があれば、財産関係だけではなく、生活パターンや対人関係など、その人の生活すべてを探索することさえできるのです。

たとえば、ある人に愛人がいた場合、その愛人について徹底的に調べることもあります。愛人に隠し資産を託していることもあるからです。これは、見方によっては、相当に強い国家権力です。

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首相・政治家・要人を含む、すべての国民が監視対象

警察は、何か犯罪の疑いのある人にしか取り調べはできません。任意で話を聞くことはありますが、それはあくまで「任意」です。国民には拒否する権利もあります。だから、誰かを取り調べしようと思えば、逮捕したり拘留する以前に客観的な裏付けが必要となります。また拘留期限なども法的に定められており、何の証拠もないのに、誰かを長時間拘束したりはできません。

しかし、国税調査官の持っている質問検査権の場合は、そうではありません。日本人に対してならば、どんな人に対しても、国税調査官は税金に関して質問する権利を持っています。赤ん坊からお年寄りまでです。

国民は国税調査官の質問に対して、すべて真実の回答をしなければなりません。拒否権、黙秘権は認められません。これが、「国税が最強の捜査機関」と言われる最大の理由です。

そして、この国税の調査権を濫用すれば、財務省は国民すべての生活を監視することさえ可能となります。もちろん、首相をはじめとするあらゆる政治家、要人もその対象です。

政治家のスキャンダルを見つけることなど、国税庁を支配している財務省にとってはいとも簡単な話、ということになるのです。(次ページに続く)

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