日本の財務省は、信じられないほど強大な権力を持っています。別に法律で決められているわけではないのに、金融庁、国税庁の長官、公正取引員会の委員長、そのほかの幹部ポストを独占し、事実上、各省庁を横断支配しているのです。この財務省が持つ強大な権力は、国政に大きな弊害をもたらしています。その最たるものが「国税庁の秘密警察化」です。(メルマガ『元国税調査官・大村大次郎の「本音で役に立つ税金情報“特別版”」』2025/7/1号・本文より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
日本を支配する財務省直属の「秘密警察」として機能する国税庁
財務省と国税庁は、「建前の上では」別個の省庁ということになっています。
しかし、国税庁長官をはじめ、全国の国税局長など国税庁の重要ポストには、すべて財務官僚が就いています。国税庁は完全に財務省の子会社状態です。
この「財務省による国税庁支配」は、財務省の権力を肥大化させてきた最大の要因でもあります。
というのも国税庁が、「財務省の秘密警察」的な役割を果たしているからです。
国税庁は、「徴税権」という強力な国家権力を持っています。この徴税権は、警察よりも強いものです。国税調査官たちには「質問検査権」という国家権利が与えられており、これが、実に強大な力を持っているのです。
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財務省傘下の国税庁が、警察をしのぐ権力を持っている
質問検査権とは、国税調査官は国税に関するあらゆる事柄について国民に質問できる、という権利です。国民に、これを拒絶する権利はありません。
この質問検査権こそが、国税庁の最大の武器だと言えます。取りようによっては、無制限に国民の情報を収集できる性質のものです。
質問検査権は、国民の税金において、国税側が何か疑問を持った場合に発動できるものです。ですが「その人の税金に関する疑問」というのは、必ずしも税金に直接関係ある内容だけではありません。「その人の税金に関係があるかもしれない」という段階でも発動できてしまいます。
「国税に関することすべて」というのが、実際にはどれほど範囲の広いものか、お分かりいただけるでしょうか?
国民の収入に関するあらゆること、国民の財産に関するあらゆることを、財務省傘下の国税が質問する権利を持っているのです。まさに「国民の生活のすべて」と言ってもいいでしょう。(次ページに続く)
「脱税の証拠を掴む」という名目で愛人を調べ上げる
国税調査官は、事業に関するものであれば何でも見せてもらうことができます。
帳簿や領収書だけでなく、事業や仕事に関するあらゆる書類、データ、預貯金などの金融資産、不動産資産、自家用車などの固定資産なども調査することができます。
また「脱税の証拠」をつかむという名目があれば、財産関係だけではなく、生活パターンや対人関係など、その人の生活すべてを探索することさえできるのです。
たとえば、ある人に愛人がいた場合、その愛人について徹底的に調べることもあります。愛人に隠し資産を託していることもあるからです。これは、見方によっては、相当に強い国家権力です。
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首相・政治家・要人を含む、すべての国民が監視対象
警察は、何か犯罪の疑いのある人にしか取り調べはできません。任意で話を聞くことはありますが、それはあくまで「任意」です。国民には拒否する権利もあります。だから、誰かを取り調べしようと思えば、逮捕したり拘留する以前に客観的な裏付けが必要となります。また拘留期限なども法的に定められており、何の証拠もないのに、誰かを長時間拘束したりはできません。
しかし、国税調査官の持っている質問検査権の場合は、そうではありません。日本人に対してならば、どんな人に対しても、国税調査官は税金に関して質問する権利を持っています。赤ん坊からお年寄りまでです。
国民は国税調査官の質問に対して、すべて真実の回答をしなければなりません。拒否権、黙秘権は認められません。これが、「国税が最強の捜査機関」と言われる最大の理由です。
そして、この国税の調査権を濫用すれば、財務省は国民すべての生活を監視することさえ可能となります。もちろん、首相をはじめとするあらゆる政治家、要人もその対象です。
政治家のスキャンダルを見つけることなど、国税庁を支配している財務省にとってはいとも簡単な話、ということになるのです。(次ページに続く)
財務省に異を唱える政治家たちの失脚は偶然ではない
財務省の方針に異を唱えたり、財務省の力を削ぐような動きをした政治家は、なぜか皆、失脚してしまう――という不思議なジンクスがあるのをご存じでしょうか?
大蔵省(現財務省)を解体し、抜本的な官庁改革をしようとした橋本龍太郎氏は、その改革の最中に日本歯科医師会からの不透明な政治献金が発覚して大スキャンダルとなり、最終的に政界からの引退を余儀なくされました。
財務省の消費税増税の方針に異を唱え、決定していた増税を二度も延期した安倍晋三氏は、二度目の増税延期を決定した直後に、森友問題や加計問題が発覚し人気が凋落。それが首相退任につながりました。
最近では国民民主党代表の玉木雄一郎氏も、「年収の壁」について提議した直後に不倫問題が発覚し、政治活動を一部制限させられることになりました。
これらのスキャンダルは、すべて政治家自身の「身から出た錆」であることに間違いはありません。しかし、不思議なのはそのタイミングです。
これまでスキャンダルとは無縁だった政治家でも、財務省の方針に異を唱えた直後に醜聞が発覚して「スクープ」されることが多いのです。
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財務省解体=巨大すぎる権力の分割が必要
この財務省の不気味な権力には、政治家もかねてから恐怖心を持っています。安倍首相も回顧録の中で、次のように述べています。
予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから。財務省は外局に、国会議員の脱税などを強制調査することができる国税庁という組織も持っている。
(出典:「安倍晋三回顧録」中央公論新社)
財務省の上に立っているはずの政治家が財務省の言いなりになってしまうのは、こういうカラクリがあるからなのです――
(『元国税調査官・大村大次郎の「本音で役に立つ税金情報“特別版”」』2025/7/1号より一部抜粋、再構成。全文は登録のうえお楽しみ下さい。同号では、今回ご紹介した「財務省の秘密警察とは?」のほかに、財務省解体の具体的な方法を考察する「財務省の内部崩壊が始まっている」を掲載。さらに、「子育て世代の減税情報」「起業はエロを狙え」「いざというときの緊急融資を知っておこう1~信用保証 協会のセーフティー保証~」のお役立ちコラムも。メルマガ登録で、すぐに全文をご覧いただけます)
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