乱暴な言葉と空疎な議論。参院選が置き去りにした「人へのまなざし」

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2025年夏の参議院選挙は、目先の支援策ばかりが注目される一方、社会保障や福祉といった本質的な議論がかすんでいるように感じられます。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者でジャーナリストの引地達也さんが気になっているのは、候補者たちの発する「言葉」です。

世相が示す参院選の主張と想像力必要な真の言葉

参議院選挙の構図は自民、公明の「給付金」に対する野党の「減税」かの争点がクローズアップされ、物価高対策が喫緊の課題として社会も広く認識されているようで、直前の国会で議論となっていた社会保険料をはじめとする社会保障に関する議論は霞んでしまった印象がある。

景気対策や物価高対策は、予測不能な市場との駆け引きを伴う博打のようでもあり、正答を出せるものでもない。
米国をわがもののように思いのままにしたいトランプ大統領でさえ市場をコントロールするのが難しいから、他国との関税という取引に活路を見出そうとしている。

経済対策は、そんな博打の要素も含み、将来得られるか分からない利益について論じることになるから、場合によっては空疎な議論になってしまうことになる。

この議論に終始し、社会保障に時間が割けなくなった今選挙を憂う。

社会保障費はある財源からどのように分配しようとの議論が必要ではあるものの、まずは人々が何に困っているか、を示し、そのために予算を配分するという説明が必要である。

説明の機会である選挙で、社会保障が論じられないのは、先月の東京都議会議員選挙でも同様だった。

家に届いた選挙公報には候補者の主張に「福祉」「ケア」「障がい者」等の文言が著しく少なくなった。

さらに新しい勢力の伸長が、さらにこの議論を遠ざけているような気がしている。それは「保守勢力」とされる政党の主張である。

参政党の勢いがあるのは説明の分かりやすさも大きいのだろう。

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