進次郎“ステマ騒動”でも露呈。自民が当然の政治手段として長年「民意操作」を続けてきたこれだけの「前科」と「証拠」

 

ライバル候補が「進次郎ステマ問題」を批判しない背景

さて、今回の「ステマ問題」で、小泉人気が失速したとネット空間で騒がれる中、10月4日開票の総裁選はどうなるだろうか。

焦点は、高市氏が党員票をどれだけ獲得するかだが、岩盤保守といわれる人々を勇気づけているのが、日本テレビによる党員・党友への独自の電話調査(9月23~24日)だ。

前回調査(9月19~20日)にくらべ、小泉氏は32%から28%へと支持を減らし、逆に高市氏は28%から34%へと増やして、わずかな期間に1位と2位が逆転した。小泉氏が演説原稿を棒読みするのに対し、高市氏は奈良の鹿と万葉集の和歌を持ち出して独自色を出し、保守的な党員の心をつかんだといわれる。

さらにこの調査の後、「ステマ問題」を報じる文春砲が炸裂し、高市陣営やその支持者層は俄然強気になった。だが冷静に考えるなら、いくら高市氏が大量に党員票を獲得するとしても、限度がある。決選投票にもつれこむと、国会議員票を手堅く固めた小泉氏には及ばないと見るのが妥当だ。

自民党は9月27日夜、「ひろゆき」こと西村博之氏をインタビュアーにした総裁選の候補者討論会を行い、その様子を生配信した。その中で、ひろゆき氏が「“ステマ”に関してどう思うかというのを、1人2分以内で」と無茶振りした時の、小泉氏を除く4人の反応が面白かった。

小林鷹之氏 「そうした事案を耳にしています。ただ小泉候補自身も謝罪をされていますし」

茂木敏充氏 「責任を感じると、こういう話もされていますので、みんなフェアに“ワン自民”でやっていきたい」

林芳正氏 「おそらく放っといてもそういうコメントは出ていたなと思って、ちょっともったいない」

高市早苗氏 「自民党内のことについては、左に同じ意見でございます」

いかにもみんなで小泉氏を庇っているように見えた。下手に批判的な発言をしたらブーメランが恐いというということなのか、それとも、ここは穏便に取り繕ったほうがイメージ的に得策という計算なのか。「ステマ体質」が、自民党全体に染みわたっていることは、多くの人々が薄々感じ取っているだろう。“突出”した発言を避けたいという候補者たちの思惑が透ける。

9月18日の「自民党TikTok LIVE」では、問題の張本人である牧島かれん・ネットメディア局長が平井卓也・広報本部長とともに出演し総裁選のPRにおよんだ。そのさい、発表した総裁選のキャッチテーマが「#変われ自民党」だったのだから、なんとも皮肉なものである。

小泉陣営の「ステマ指示」は、自民党が変われないことを、ネットメディア対策を取り仕切る自民党幹部の手で、自ら実践して見せたということになるだろう。

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