高市早苗が墓場に連れて行くべき“日本の未来を閉ざす”時代錯誤な勢力「地方名望家」の正体

ra20251007
 

4日に行われた総裁選を制し、新たな自民党の顔となった高市早苗氏。彼女が新総裁の座を射止めることに成功した背景には、欠かせない勢力が存在していたようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では作家で米国在住の冷泉彰彦さんが、日本の政界に大きな影響力を持つ「地方名望家」とはどのような人々なのか、そして彼らの行動原理とは何かを解説。その上で、高市総裁が地方名望家を「墓場に連れてゆくべき理由」を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:高市早苗氏と地方名望家の「関係」を考える

日本政界に及ぼす大きすぎる影響。「地方名望家」と高市早苗の関係

高市早苗氏が自民党の総裁に当選しました。当選に至った経緯としては、ライバルの小泉進次郎陣営に「優勢」であったゆえのスキがあったとか、高市陣営の本気度が上回ったなどという解説がありますが、話半分は本当で、半分は風評という程度に理解しておけば良いのではと思います。

テクニカルには、連立工作に関して、維新に接近していた小泉氏よりは、高市氏の方が柔軟に動けそうという思惑が議員たちにはあったのだと思います。総裁選の有権者、つまり自民党の国会議員の行動原理は「次の選挙で落ちない」「今の任期を全うしたい」ということであって、これが何としても至上命題だからです。ですから、連立を安定させて多数与党になれば解散総選挙は先へ伸びるし、与党が安定すれば次の選挙で「自分が当選」する可能性は高まるわけです。

その意味で、公明党は表面的にはハト派で、高市氏と距離を置いているようにも見えますが、長年の自公連立の中で、閣僚としてやってきた高市氏は、公明とのチャネルもある、そんな安心感もあったのだと思います。高市氏といえば、選挙区の関係で教派神道の大手である天理との関係が濃く、創価=公明とは全国的に競合関係があるという事情もあるかもしれません。

ですが、公明というのは、ある時点からは都市周辺の比較的豊かな自営業や専業主婦の経済的基盤が高齢化。そこからは高齢者の権益保護のために、政権に密着する方向に転換せざるを得なかったので、余程のことがない限りは保守政権に同伴してゆくでしょう。現在進んでいる「高市氏への拒否反応」というのは、型通りの儀式のようなもので、結果的には連立を維持するのではと見ています。

その上で国民民主との間で、何らかの政策合意を取り付けて当面の政治運営をするというのがシナリオのようです。後は、終盤に来て麻生太郎氏との手打ちがあったようですが、その席で高市氏は極端な積極財政は引っ込める密約をしたのかもしれません。これは非常に大きな点で、仮に麻生氏が相当な「釘刺し」をしたのだとすれば、財政規律をぶっ壊すところまでは暴走しないということで、当面は見ていって良いのだと思います。

ちなみに、今回の株高、円安はいわゆる「サナエノミクス」というのが、基本的に金融緩和政策という期待の現れのように見えます。ですが、これも成立可能なゾーンというのは、極めて狭い角度になっているので、暴走もなければ即時失速もない程度で推移すると見ていいと思います。

円安と株高ということでは、実は現在の日本の大型(時価総額の大きな)株というのは、価格形成は国外の投資家による部分が大きいわけです。その場合は、円建てで株が上がっても、同時に円が下がればドル建て株価はイーブンなので、話としては別に驚くようなことが起きているわけではありません。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 高市早苗が墓場に連れて行くべき“日本の未来を閉ざす”時代錯誤な勢力「地方名望家」の正体
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け