高市早苗が墓場に連れて行くべき“日本の未来を閉ざす”時代錯誤な勢力「地方名望家」の正体

 

「一方的な保守」とは違う地方名望家の複雑な心理

3つ目は、イデオロギーです。地方名望家は保守でありますが、その中身を見ていくと、国外の市場が大事、中国が大事、また外国人労働力も、訪日外国人も極めて重視します。ですから、行動原理としては反鎖国であり、国際化推進であるわけです。そうなのですが、先程申し上げたように、地方名望家の中には、頑固な保守思想があるのは事実です。

そうした保守イデオロギーの受け皿としてあるのが、例えば夫婦別姓反対であったり、LGBTQ擁護への反対であったりするわけです。この辺は実は都道府県でかなり濃淡のある話であり、例えば稲田朋美氏の立ち位置が中道になってきているのは、選挙区の福井が「ジジババの子育てに支えられた共稼ぎ社会」になっていることの反映だったりします。

もっといえば、自民党などの保守政党は「拉致被害者救出」のメッセージだとして、青いリボンのバッチを「いつでも」着用しています。この拉致問題については、例えば「北の当局に忠誠を誓う代わりに日本の親族とのコミュニケーションを許されている」人などもいるわけですが、青バッチの人たちは、そうした人たちを、悪しき政権に妥協した裏切り者として憎んだりはしないわけです。

つまり、アンチ金王朝という強い政治的メッセージと言うよりも、「家を出て戻ってこない息子や娘」への親の思い、といった部分で琴線に触れているのだということが言えます。拉致被害者への思いの裏には、多くの「地方名望家」が都会に出ていって帰ってこない息子や娘を「可能なら奪還したい」と思っている微妙な深層心理があると見ていいと思います。

何を申し上げたいのかというと、この地方名望家の心理というのは非常に複雑であり、一方的な保守というのとは違うのです。その独特の心理に寄り添うことが、この高市早苗という人にはできているということなのだと思います。そして、あえて申し上げますが、高市政権ができるということは、イコール、こうした地方名望家の伝統を最後の最後に終わらせて、彼らを墓場に連れて行くことになる、希望的観測を含めて、そんな見方をしています。

それでは、最後に、仮に連立工作が順調で、15日に高市新政権が発足した場合に、その政権はどんな方向性を示すのかを占っておこうと思います。

まず、財政規律については、選挙戦までの期間では相当に緩めて国内投資をするような姿勢がありました。ですが、最終的に麻生氏との提携が成立した中では、一定の枠が設定されたと見ています。

勿論、税調の宮沢氏に「お引き取り」いただくなど、多少の調整はあるし、何よりも国民民主との「手取り」問題の調整もしているようです。また、何か具体的な物価対策をしないと、現状は乗りきれず、総選挙など夢のまた夢というのは事実です。そうではあるのですが、無謀な領域に突っ込むことは回避されるのではないかと見ています。

次に為替については、物価を考えると円高に戻したいところですが、円安政策で行くしかなく、実際にこの点では行き過ぎにならない範囲で金融緩和気味に進むこということになりそうです。既に市場はその方向で反応しています。

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