高市早苗が墓場に連れて行くべき“日本の未来を閉ざす”時代錯誤な勢力「地方名望家」の正体

 

今まさに次期内閣総理大臣に求められるもの

日米関係については、平均的な自民党政治家よりは米国の現状についての情報はあり、また判断の勘もあると期待しています。そのうえで、石破政権が赤沢氏を何度も派遣してやってきたことは、100%尊重して動くし、それ以外の選択はないであろうと思っています。27日にトランプ氏が来日した際が、恐らくは外交デビューとなると思いますが、大失敗はしないでしょう。

日中関係についても、前述した通り、地方名望家の支持を基盤とする中では、極端に悪化させる動機はありません。小泉政権から第一次安倍政権に移行した際のように、自然な日中外交を志向するだろうし、それでいいと思います。多少は言動の中で「保守イコール、アンチ中国」的な姿勢も見せるかもしれず、またそうでないと保守票の逃げるのが怖いということはあるでしょう。ですが、そうしたタカ派的言動も一定の枠内で止めると見ています。

一つ大きな懸念があるのは、仮に高市政権が現実主義に進むとして、その場合に、地方名望家は抱き込んでも「都市の現状不満票」が依然として逃げていくという可能性です。その上で、仮に総選挙があったとして、参政党やれいわ新選組などの両翼が更に票を伸ばす、そして政局が依然として不安定になるという可能性です。

これを避ける意味合いもあって、国民民主と提携して「手取り」改善策を実現することは、高市氏にとって重要な問題になりそうです。では、麻生太郎的な視点での「中長期の財政規律」から見た「国家破綻にならない範囲」というのが、玉木雄一郎的な視点から見た「国民の怒りが収まるレベル」に重なるのかどうかということです。

全く重ならないのであれば、政権存続は難しくなります。高市政権の運命は、石破、岸田のパターンと全く同じになるでしょう。そうではなくて、とにかく、中長期的な視点からは何とか耐えられる、それでいて国民の不満は何とか抑えることができるような政治、こちらが高市氏には求められます。

仮に数字が重なるゾーンがない、つまり国民へ向けた物価対策と、中長期の国家存続に必要な財政規律の間に「連立方程式の答えがない」ということも、あり得ます。その場合に、それでも落とし所を見つけて、その方向に全体を牽引する、その推進力と合意形成力というものが、今まさに次期内閣総理大臣には求められるのだと思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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