高市早苗が墓場に連れて行くべき“日本の未来を閉ざす”時代錯誤な勢力「地方名望家」の正体

 

明日を生き延びるためには手段を選ばない地方名望家

1つは、中長期視点などというのは幻想であり、あるいは富裕な都市インテリの特権的な視点であり、自分たちは「明日をもしれない存在」だという、徹底した短期的視点ということです。明日を生き延びるためには手段を選ばない、何故なら明日を生き延びなければ明後日はないという生存本能とでも言って良いものです。

2つ目は、まずは東京への、そしてその先にある米英への屈折した対抗心です。米英が主導する世界秩序、そして金融秩序、その出店としての東京というのは、自分たちが生き延びるための生存闘争には、根本的な対立があるという認識。そして何よりも、米英の描く理想主義などに、自分たち異民族を見下げる視線を感じて、これを東京の地方への蔑視に対する反発を重ね、これに対する発奮と言いますか、対抗心を深く秘めるという体質があります。

3つ目は、政界との癒着です。経済は経済として回すべきで、とにかく企業を大きくして市場から資金を調達して世界に雄飛するという発想は、この地方名望家には弱いのです。そうではなくて、まずは地方政治、そして中央政界に癒着して、官需を引っ張って、自分たちの生存の基盤にする、それが確実であり安心だという行動原理があります。そこには公私混同や癒着、汚職があるという反省は、発想法として薄いのです。

4つ目は、自分たちに敵対するイデオロギーへの根源的な憎悪です。まず、自分たちが回している中小規模の企業活動を危うくする組合や、その背後にある左翼イデオロギーに対しての徹底的な憎悪がデフォルトとしてあります。女性の権利や、平等思想なども同様に敵視します。どうしてかというと、自分たちの企業内の行動原理が、近代ではなく前近代の封建的なイデオロギーであるために、これに対する挑戦者は徹底して憎むということになるからです。

この4つの行動原理を持った「地方名望家」こそ、若き日の高市氏に土下座をしいて屈服させ、同時に今まさに、その高市氏を総裁へと押し上げたのでした。

この地方名望家の影響力を政治エネルギーに転じるという役割は、戦前の政友会から戦後は清和会福田派へと引き継がれ、現在に至っています。そして、現在でも政界に大きな影響力を行使しています。その一方で、その行動原理はそのほとんどが賞味期限切れとなっており、今こそ「大正以来の地方名望家」の影響力を削ぐことでしか、日本は先へ進めないとも言えます。何が問題なのか、3点ほど申し上げたいと思います。

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