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深刻な失敗例として記憶されるべき野田内閣の尖閣国有化

一方で、日中関係が大破綻に陥ったのは、野田内閣の時期でした。まず、民主党への政権交代が起きる前の麻生太郎内閣の時代、2008年12月に中国公船による尖閣海域における領海進入が発生しました。また、2010年9月の菅直人内閣当時に尖閣諸島中国漁船衝突事件も起きました。

これに対して外交や国政とは全く関係のない石原慎太郎東京都知事は、尖閣諸島の地権者と交渉して尖閣諸島を「東京都として地権者から購入する」と宣言、14億円ものカネを募金で集めて現地に乗り込んで調査をしたのでした。これに対して、中国の胡錦濤政権は反発しました。

事態を憂慮した野田内閣は、玄葉外相、丹羽大使などが協議の結果「中国政府の反発を和らげるため」だとして、尖閣諸島の国有化を実施したのでした。これは、2012年9月の出来事でした。

しかしながら、野田=玄葉=丹羽のトリオは、特に胡錦濤の側近等に確認をしたわけではなく、一方的な判断で行動していました。また、特にこの時期は17期の常務委員会の最後の時期にあたっており、非常に難しい次期指導部人事を固める時期でもありました。

そんな中では、胡錦濤=温家宝のコンビとしては、次期最高指導部の「ワンツー」を「習近平=李克強」ではなく「李克強=習近平」の序列にするのが悲願でした。仮に、それが難しくても少しでも共青団系の人物を要職に押し込むなど、人事の最終段階での調整と言いますか、暗闘の時期であったわけです。

そんな中で、胡錦濤=温家宝には「日本政府による尖閣国有化」という事件を受けて、これを放置する政治的な自由はなかったわけです。当然のように、中国指導部は最大限の批判を始めたばかりか、一部地域で起きた反日の破壊行動について、結果的に「愛国無罪」だという既成事実を許したのでした。

この問題について、今でも立憲周辺の人々からは、石原慎太郎の挑発を抑えて日中関係を安定させるための国有化だったという説明がされています。ですが、とにかく中国のしかるべき筋に話を通さなかったこと、ナショナリズムに関して自分たちは信じていないのに、票欲しさに石原に対抗したこと、何よりも、無反省ということで非常に深刻な失敗例として記憶されるべきだと思います。

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