まだまだ可能だと思われる日中間の「和解への調整」
3)ところで、中国の方は実は違う言い方をしています。「台湾軍と集団的自衛権を行使する意図」などという具体的な非難はされておらず、戦前の歴史において「存立の危機」を口実に侵略を繰り返してきた日本…などという言い方を繰り返しています。
だとすれば、マックスの短絡というか決めつけをやっているわけではないのであって、和解への調整はまだまだ可能だと思います。その上で、この際ですから日本としては歴史認識の公式見解を出してはどうでしょうか。まず「存立の危機」を感じて日本が中国領土において、あるいは中国人と戦争を行ったのは日清日露だけだと思います。
日清戦争は、このまま清朝が朝鮮半島の宗主国だと、朝鮮半島における近代兵力という意味での力の空白を生じ、欧米列強が進出することで日本の独立が脅かされるという「存立の危機」が確かにありました。また日露の場合は、より具体的に朝鮮半島がロシアの影響下に入れば、日本の独立は危うくなる、まさに「存立の危機」において実施された戦役ということでいいと思います。
ですが、最終的に中華人民共和国が成立という結果で終わる、長い日中戦争とその余波としての国共内戦においては、日本の当時の軍部による無責任で利己的な動機が戦争を進めたのです。
第一次大戦後、21ケ条要求でドイツ利権を継承して、ダークサイドに落ちて以降は、日本の中国における作戦は軍部のメンツのため、自国兵士の犠牲に対する後追いでの意義付けなどの矮小な理由から実施されたのでした。
良く、日本の保守派は「侵略ではなく進出だった」という弁明をしますが、その通り何の理由もなく進出していたのでした。良くも悪くも、大陸を統治して住民の民生に責任を持つなどという意志はなく、無責任に進出して恐怖心や懲罰感情を満たすために行動していたわけで、侵略軍より悪質であったとも言えます。
そう考えると、中国に与えた被害の多くは、日本が「存立の危機」から動いたのではなく、むしろもっと無責任な動機から行動した結果だとも言えるでしょう。そのような観点も必要だと思います。
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