安倍氏の「努力」を忘れるべからず。中国を激怒させた高市早苗「台湾有事は存立危機」発言が抱える大問題“3つの本丸”

 

EV製造が新局面を迎えた際の対応こそが日中間の重要課題

4)この問題の「本丸はどこか?」という問題ですが、3つあると思います。1つは、ブッシュと江沢民が「海南島事件」で指した将棋と同じように、相互のチャネルづくりという意味合いです。小競り合いをすることで、新しい相手とのコミュニケーションのルートを掘るということです。

2つ目は、とにかく「存立危機」という言葉に関する曲解と短絡、これを整理整頓して、落とし所を見つけるという問題です。特に新総理に対して「汚い首」という形容をしつつ「首を切る」、つまり殺害意図を含む暴言をした、この2つは絶対に取り消しを要求すべきです。

3つ目は、今後の日中関係の重要課題として、EV製造が新しい局面を迎えた場合の対応です。トヨタが全固体電池の実用化に成功した場合、またアメリカが排出ガス削減の枠組みに復帰した場合、更に日本では原発が稼働してEVの電源問題がクリアになった場合、など、様々な点で局面が変わった時点で、日中は、

「全世界におけるEV部品の標準化・モジュール化で組むのか敵対するのか」

という大きな岐路に来ます。組まなくても平和的、建設的に競合して共存するということもあります。実は、このEV化に関する局面転換という問題こそ、日本という国にとっての「存立の危機」になるわけで、この問題が喫緊の課題になる前に、日中は戦略的な共存関係を維持するためのコミュニケーション・チャネルを築く必要があると思います。

日中がロクに相談もせず、表面的にはイデオロギー的な舌戦パフォーマンスを世論に見物させているのは困りものです。その裏では戦略なき形で、BYDなどの廉価なEVをホイホイ売らせているようでは、最終的に日本は滅んでしまうと思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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