レンガ積みの40階建て
私が驚いた大連の建物は、一応固有名詞は伏せておきますが、まさに、高層ホテルでありながらも、その構造部分に鉄筋はほとんどなくレンガ積みで建てていることでした。
当然に今回話題になった竹の足場であり、それにも驚いたのですが、その高層部分はレンガを積んだだけという建て方でした。
マイカルが建てていたホテルとショッピングセンターは日本と同じ基準で建てていたので、その意味では問題はなかったのですが、他の建物は、ほとんどがレンガを積んだだけというような建て方です。
もちろん、日本とは異なってほとんど地震がないので、それでも建築基準としては問題がないということを、専門家の人々(当然に我々の建物を建てていた日本人技術者)と話をしていましたが、しかし、それでも高層のところにレンガだけというのは少し不安があります。
「もし、こんなので崩れてしまったら大変でしょう」
「崩れないように計算はしていると思いますよ」
「でもレンガでは、劣化もしますし」
「そのことも考えているとは思いますけどね。わかりませんが」
確かに、日本人の技術者に聞いてもあまりよくわからないので、中国人に聞いてみたものです。
「これで建築は問題ないのですか」
「問題はないですよ。この方が加工が楽ですし、別に日本のように地震があるわけで張りませんから、何の問題もないのですよ」
「加工が楽?」
「そうです、例えば、部屋を広くしたいと思えば、レンガなので壁をぶち抜けばよい。ああ、今日、ちょうど○○ホテルで部屋の拡張工事があるので見に行きますか」
ということで見に行ったら、驚いたのです。何しろ少し屈強そうな男性が大きなハンマーを持ってきました。ハンマーといっても工事用の柄の長いものです。その柄の長いハンマーで、いきなり壁を叩き始めたのです。
壁は当然にレンガをくみ上げたものですから、はってある壁紙が無くなれば、そのままレンガが崩れてゆきます。そしてすぐに壁が一つ無くなってゆくのです。その壁がなくなったところに木の枠を着けて、あとは同じ柄の壁紙を張って終わり。
確かに簡単ですが、このフロアの上のフロアの強度とかはどうなっているのでしょうか。そのような疑問を持って質問をしてみました。
「それは、柱ではないから大丈夫でしょう。まあ、崩れた時は運が悪かったっていうことですよ」
これが、少なくとも当時の中国の建物に対する感覚であったし、工事業者の感覚なのです。
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