話し合いは物別れに。見通せぬガザにおける悲劇の終焉
「57か国のアラブ・ムスリム諸国は一致して、パレスチナ国家の樹立を支持し、支援することを明言する。
そのためにはイスラエルは一切の攻撃と蛮行を停止し、皆が合意に至った1967年のラインまで撤退する必要がある。
そのための道筋が鮮明に描かれ、そして実行に移されない限りは、我々は今後、何もネタニエフ首相と話し合うことはない。
また、今日、ネタニエフ首相と会ったが、“イスラエルは、イスラエルの存在を壊滅したいと願う国々囲まれていて、その脅威に立ち向かう必要がある”と言っていた。
イスラエルがこれまでアラブに対する緊張を高める理由にしてきた“イスラエル国家と国民の安全に対する脅威”は、今、ここで明言するが、存在しない。
我々は挙ってイスラエル国家の存在を認め、イスラエル国民の安寧と平和を保障するが、イスラエルもアラブの平和と安寧を尊重し、その実現に努めなくてはならない。
イスラエルは今、ガザを破壊し、レバノンに攻撃を仕掛け、シリアを不法に侵略し、アラブ諸国の地において”安全保障・自衛“の名の下、暗殺を実行し、自らテンションを高め、怒りを引き起こしているが、イスラエルは今後、どのような地域を作り、どのような世界を作りたいのか?というプランが全く見えてこない。
我々は地域の平和実現のために話し合う用意があるが、果たしてイスラエル政府の誰とその話が出来るのか分からない。
ネタニエフ首相が繰り返し私たちに伝えるのは、平和と安寧のためには脅威を取り除く必要があり、それはハマスの壊滅であり、ヒズボラの崩壊以外に手段はなく、イスラエルは必然的に武力を通じてその実現に邁進するということだが、彼の頭には戦争を継続することしかなく、何のグランドデザインもないことが分かった。
ボールはイスラエル側にあるが、イスラエルが和平について本気で話し合い、地域のあるべき未来の姿を具体的に我々と描くつもりがあれば、アラブ諸国はいつでも対話の扉を開く。
しかし、その“相手“はネタニエフ首相ではないだろう」
これは今週開かれたMuslim-Arab Committeeの首脳級・閣僚級会合の後、ヨルダンの外務大臣であるAyman Safadi氏が“57か国を代表して”プレスに示したスタンスです。
「ネタニエフ首相と話した」とありますが、これは彼がこの会合に招かれて協議に加わったのか、それともオンラインでの参加となったのかは分かりませんが、話し合いが物別れに終わり、ガザにおける悲劇の終焉が見えなかったことを暗示していると考えます。
この結果を受けて、サウジアラビア王国はモハメッド・ビン・サルマン皇太子が「ネタニエフ首相との間で今後、何かしらの話し合いが行われることはないし、かつネタニエフ首相が率い、ガザを蹂躙し、明らかに1967年合意を無視して領土的な野心を明らかにする行動を取る限り、サウジアラビア王国がイスラエルとアブラハム合意について議論することはない」と発言していますし、UAEもヨルダンも、そしてカタールも「パレスチナ国家の樹立を含む二国家並立による和平が実現するならば、我々はイスラエルが恐れるような事態に加担しないし、地域における平和的共存を支持する」と述べ、「しかし、それは明確にパレスチナ国家の樹立を馬鹿げたアイデアと非難し、アラブ社会全体をハマス、テロリストと非難を続けるネタニエフ首相が、アラブのカウンターパートになることはない」と非難しています。
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