高市首相の「知らぬ存ぜぬ」でパニック売り暴落。サナエ・トークン騒動で浮かび上がった暗号資産と政治の危うい関係

 

高市ツイートで急転。「サナエ・トークン」暴落の舞台裏

事態が急転したのは3月2日。高市首相がXに以下の投稿をしたのきっかけにパニック売りが発生した。

名前のせいか、色々な誤解があるようですが、このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません。

溝口氏がコミュニケーションをとっていると主張する「高市さんサイド」とは、高市氏の自民党支部と後援会の有志が運営している「【公認】チームサナエが日本を変える」というXアカウントを指すようだ。同アカウントに3月3日、以下のような投稿がなされた。

SANAETOKENは、素晴らしい提言にインセンティブポイントを付与してより広く声を集めるアプリ内の手段としての説明であり、現在話題になっております暗号資産の様な仕組みとは全く違うお話でした。ブロードリスニングのインセンティブポイントの仕組みがスタートしていない現状で既に発行されているとの事実に触れ、理解に苦しむ状況です。

どうやら、溝口氏と「チームサナエ」とのコミュニケーションはうまくとれていなかったようである。

こうした状況を受けて、5日の衆院財政金融委員会で、中道改革連合の伊佐進一議員がこの問題を取り上げると、金融庁は「サナエ・トークン」の運営者が「暗号資産交換業者」としての登録を行っていないことを明らかにし、片山財務大臣は「法令違反が認められ利用者保護のために必要と判断すれば適切に対応する」と明言した。

Web3コミュニティといえば、新潟県長岡市の旧山古志村で展開されている「山古志DAO」がよく知られている。

人口約800人の限界集落が、ブロックチェーン技術を活用して「デジタル民」という新たな仲間を世界中から募り、地域の存続を目指す日本初のプロジェクトだ。山古志村は中越地震(2004年)という大きな困難を乗り越えてきたが、人口減少に歯止めがかからなかった。そこで生まれたのが「地域を世界に開き、外部の人を対等な仲間として認める」という発想だった。

このコミュニティの鍵となるのが、山古志の特産品である錦鯉をモチーフにした「Nishikigoi NFT」(非代替性トークン)だ。一つ一つが異なる錦鯉アートにシリアルナンバーが振られた「一点もの」で、「電子住民票」としての機能を持つ。特筆すべきは、その流通性の低さだ。売りに出されている割合が1%以下と極めて低く、売買して利益を得るのではなく「持ち続けて参加する」ことに価値が置かれている。いわば、地域への「愛着」を可視化したデジタルな会員証といえる。

一方、サナエ・トークンの構造は対照的だ。「AI/Web3などの新しいテクノロジーを掛け合わせ、日本の民主主義をアップデートする試みです」とホームページに謳われているが、「投機性」がないとは決して言えない。ビットコインと同じ「代替性トークン」であり、交換や決済、分配に適した構造を持つ。それゆえ、コミュニティへの帰属意識よりも、マーケットでの価格変動と流通に関心が向きやすくなるのは仕方がない面がある。

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