高市早苗の「ジャパン・イズ・バック」は本物か虚飾か?トランプからまもなく届く“請求書”が教えてくれる「属国日本」の厳しい現実

 

「トランプ賛美」が招いた欧州とイランの反発と国際社会の不信

会談がはじまり、トランプ氏に「国民から愛され、パワフルで素晴らしい女性」と紹介された高市首相は、「おだて」に弱いといわれるトランプ氏のためにとっておきの賛辞を用意していた。

「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだと固く信じています。そのために、私は諸外国に働き掛けて、しっかりと応援したい。今日、私はそれを伝えにきました」

戦争を仕掛けた張本人に向かい、照れも躊躇もなく、そう言い放つ。ホワイトハウスの玄関に出迎えたトランプ氏の胸に飛び込むパフォーマンスといい、したたかな演技者の面目躍如といったところか。だがこの発言、イラン側にすれば「日本はトランプと一蓮托生」という明確なシグナルと思えるだろう。

このあと、「掃海艇派遣を含めて、日本からの支援に納得いっているか」という質問に答えてトランプ氏が発した言葉は、生真面目な外務官僚たちの度肝を抜いた。

「それについてはこれから話す。日本とは素晴らしい関係にあり、大きな支援を受けている。数日前に出た声明を踏まえると、日本は期待に応えようとしていると思う。NATOとは大違いだ」

米海軍は現在、ペルシャ湾での掃海能力が危機的に不足している。NATOに協力を求めても、加盟各国が国内世論を気にして「検討中」のまま動こうとしないことにトランプ氏は大きな不満を抱いている。そのタイミングで開かれた日米首脳会談。相手はトランプ氏を「ベタ褒め」して寄り添う姿勢を見せる高市首相だ。日本を見習って、もっと金を出し、もっと軍隊を出せと欧州に圧力をかけるための「当てこすり」として利用するにはもってこいの機会だったはずだ。

だが、欧州諸国にとってはきわめて不快であるに違いない。トランプ氏に自制を求めつつも、なんとかその意に沿って多国間協調をはかろうとしている中で、日本だけが持ち上げられたのである。高市首相がしたたかに演じた「特別なパートナー」という役柄は、欧州の同盟国から見れば、トランプ氏の横暴を正当化する“共犯者”に映っていないかと懸念される。

そしてなにより、イランの受け止め方が気になるところだ。イランには元駐日大使のアラグチ外相がおり、今のところ日米首脳会談に対する反発は抑えられているように見えるが、高速艇によるゲリラ攻撃や機雷敷設能力を有する革命防衛隊を統制する権限は政府にはない。

これまでペルシャ湾を航行する日の丸タンカーは、日本・イラン間の「独自のパイプ」で守られてきた。だが、首脳会談での高市氏のトランプ賛美はあまりに度が過ぎていた。外交は「言葉のゲーム」といわれるが、「世界に平和をもたらせるのはドナルドだけ」と言う高市氏と、「NATOとは大違い」と高市氏を持ち上げるトランプ氏の掛け合いは、相乗的にイラン側の神経を逆なでしたのではないかと思えてならない。

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