海底が次の「戦場」と「市場」になるか。あの中島聡が注目する「水中ドローンUUV」は何を変える?

 

この流れは軍事分野でも同様です。米海軍は将来的に、艦隊のかなりの部分を無人システムに置き換える構想を検討しています。

代表的なプロジェクトとしては、大型UUV、潜水艦発射型UUV、長距離自律型UUVなどがあります。その一つがOrcaと呼ばれる機体で、小型潜水艦に近いサイズで偵察や機雷敷設などを自律的に行うことを想定しています。

背景にあるのはコストの問題です。最新の攻撃型原潜は一隻あたり約30億ドル。一方、UUVは数百万ドル程度で作れる可能性があります。

潜水艦1隻 = UUV数百機

この構造を考えれば、軍事アナリストの間で「水中ドローンの群れ(UUV swarm)が海戦の主力になる」という議論が起きているのも、当然のことかもしれません。

UUVの重要性は軍事だけにとどまりません。もう一つの大きな理由が海底資源です。ハワイとメキシコの間に広がるクラリオン・クリッパートン海域(CCZ)には、多金属団塊と呼ばれる鉱物が大量に存在しています。この団塊にはニッケル、コバルト、マンガン、銅――つまりEVバッテリーに必要な金属が豊富に含まれています。

The Metals Companyなどの深海採掘企業が海底ロボットを使った採掘を計画していますが、深海の生態系は非常に脆弱で回復に数百年かかる可能性もあると言われており、環境面での議論は今後も続きそうです。

UUV産業は、いくつかの技術レイヤーに分かれています。AI・自律航行、ミッション制御ソフト、ソナー・センサー、バッテリー、機体――この中でも特に重要なのが海底ソナーと水中バッテリーです。海中ではGPSも電波通信も使えないため、ソナーによる地形認識と長時間動く電源が勝負を分けます。

この分野で注目されている企業の一つがKraken Roboticsです。高解像度の海底ソナーと深海用バッテリーを開発しており、水中ドローンの「目」と「電源」にあたる部分を手がけています。

「次のフロンティアは宇宙」とよく言われますが、実は人類にとってもっと身近で巨大なフロンティアが海底なのかもしれません。海底通信、海底エネルギー、海底資源、海底軍事――AI、ロボット、エネルギー、地政学のすべてが交差する場所が、海の中なのです。

UUVは、その中心にある技術です。これから10~20年で、この分野がどこまで大きくなるのか。投資の視点からも、非常に面白いメタトレンドだと思っています。

(注:私はKraken Roboticsの株を少しだけ持っています。本当に手に入れたいのはAndriulの株ですが、未上場で入手が不可能なため、Andriul向けに水中バッテリーなどの技術を提供しているKraken Roboticsの株を入手しました)

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