イラン攻撃失敗の自覚はあるが決して認めたくないトランプ
しかし、これは非常に甘い見通しであり、自ら先陣を切ってか、またはイスラエルの口車に載せられてか、または自身の強欲に引きずられたのかはともかく、イランに大規模な攻撃を加え、ハメネイ師(アリ─・ハメネイ師)を殺害し、ラリジャニ氏を殺害し、イランの体制転換を図ろうとしたアメリカの失敗を覆い隠すことを許してはくれません。
この戦争を本当に終わらせるのであれば、【ホルムズ海峡の解放なくしての勝利はない】というのが常識的な話ではないかと考えます。
イランがホルムズ海峡を武器として用いて、世界に抗議しているわけですから、それを解かない限りは、成功とは言えないと考えますが、この1か月でホルムズ海峡の閉鎖は効果的に世界経済の首を絞め、原油価格を高騰させ、それが“米国が困らないはず”の国内のガソリン価格の高騰につながっています。
アメリカ国内では1ガロンあたり4ドルが判断基準になると言われていますが、現在、そのレベルはすでに超えており、秋の中間選挙を前に国民・有権者の不満は高まっているとの数値も多く出てきています。
2つ目は【トランプ大統領自身、正直なところ、今回の介入は失敗であったと自覚しているが、それを決して認めたくない】ということです。
トランプ大統領にとっては自らの面子を保つことと併せ、自らの親族や側近たちへの利益配分が行われることがとても大事とされていますが、ベネズエラへの侵攻とは大きく違い、今回のイランへの攻撃において、アメリカそしてトランプ氏および周辺が何らかの利益を得ることはありません。
実は数週間前、The Economist誌のインタビューか何かで、今回のイランへの攻撃の目的を聞かれた際、「イランの石油をコントロールしたい」という発言が取り上げられて、利益追求の欲望を全く隠していない様子が報じられましたが、その目的が果たされることは無く、代わりにロシアを利することに繋がっていますし、征服したはずの西半球・ラテンアメリカ諸国がエネルギー資源の共同調達のパートナーシップ協定を結んで、独自の態勢を組んだことで、アメリカによる支配力が弱められていますが、それに対抗するだけの力をトランプ政権は持っておらず、そして“獲得(略奪?!)”したはずのベネズエラの利権も、今、コントロールできていない状況のようです。
そしてロシアは、トランプ大統領に「ロシアがキューバに原油を供給する許可」をもらい、キューバの危機を救うことで再度コントロールを強めていますし、対ロ制裁が緩和されたことで、ロシア産原油・天然ガスへのニーズが一気に高まったことで、まさに宝くじに当たったかのように、ロシア経済の復活が起きています。
その結果、トランプ大統領と政権はいろいろなケースに介入して、成果を強調するものの、それらの“成果”も失いつつあるだけでなく、アメリカの力が支えてきたはずの信頼性をも失いつつあるという、全方面で負け始めていると思われることを、今回の演説は示したのではないかと分析します。
この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ









