露呈した「トランプはネタニヤフを制御できない」という事実
3つ目は【明らかにトランプ大統領はネタニエフ首相とイスラエルを制御できないことがあきらかになったこと】です。
今回の戦争に引きずり込まれたのは間違いないと考えますが、自らの面子と保つために、イランが核兵器を持つ危険性に鑑みて、自らがイランへの攻撃を決めたと発言しているものの、イランによる親米国への報復攻撃が激化し、そしてアメリカ軍に深刻なダメージが生じていることから、イランの報復を控えさせるために、イスラエルにイランの発電設備への攻撃(特に原発への攻撃)を止めるように要請したものの、イスラエルは、表向きは要請を受け入れたように見せかけ、イランの原発への攻撃を強行し、さらにはイラン・湾岸諸国の命綱になる海水淡水化施設への攻撃も、イランの仕業に見せかけて行うという、戦争の拡大に向けた工作を強化していますが、それをすでにトランプ大統領とアメリカ政府は制御不能になっています。
またヒズボラへの攻撃と称して行うレバノンへの攻撃や、ガザへの攻撃、そしてトランプ大統領でさえレッドラインと発言したヨルダン川西岸地域へのユダヤ人入植地拡大も、イスラエルは強行し、その結果、アメリカがガザ情勢に対して行ってきた停戦協議および仲介に対する信頼は失墜する結果となりました。
平和評議会(Board of Peace)の下、ガザの統治と治安維持が行われるとの内容だったかと思いますが、そのコアを担うはずだった治安維持組織へのインドネシア軍の派遣が取り消され、トルコとパキスタンも参加を見合わせ、同時に反イスラエルのトーンを強めて、「アメリカがイスラエルをきちんと制御しないのであれば、その先に平和はなく、そのようなプロセスに加わることはできない」という意思表示がされたようです。
イスラエルとしてはトランプ大統領と政権の面子を潰すつもりはないと思うものの、対イラン戦争をはじめた理由と目的は、アメリカのそれとは大きく異なるため、現時点でイスラエルが停戦に応じるつもりはなく、あくまでも「まず親イラン勢力であるヒズボラ、フーシー派、ハマスなどを徹底的につぶし、同時にその親玉であるイランも二度とイスラエルの脅威になることが無いように叩き潰す」という目的の完遂のために(ネタニエフ首相個人の政治生命の延命という別アジェンダとは別に)、イスラエルは現在の勢いを駆って、攻撃を強化するものと思われますが、それをトランプ大統領が止めることはできないことが鮮明になったと思われます。
このように自信満々のトランプ大統領でも、アメリカの負け・失敗がはっきりと見えてきたようで、イランからの出口を模索していることが感じられますが、いろいろと迷っている様子も見えてきます。
例えば、イランへの圧倒的な軍事的圧力をかける目的で、イランの発電所への攻撃を仄めかし、48時間以内に核放棄を受け入れよと言っていたかと思えば、3日延び、それから5日延び、最新の状況では、イスラエルに自制を求める以外は、具体的な期限には言及していません。
演説の中であと2週間から3週間は苛烈な攻撃を加えると言ってみるものの、このところ、やっていることと、言っていることの乖離または矛盾がはっきりと見えてくるようになってきています。
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