分岐点を越えた自国ファーストのエゴがぶつかり合う国際情勢
そして、ヨルダンについては、イランの対イスラエル攻撃の流れ弾が襲っている事態なのですが、これはあくまでも“イスラエルがわるく、ヨルダンは巻き添えを食らった”という認識で、イスラエルを制御できないアメリカが悪いとの認識を強め、2月28日以降はアメリカとのコンタクトを拒絶するという姿勢を取っており、イランに対するシンパシーが強まっているとされています。
このようにアラブ諸国間でも攻撃の内容や頻度に差をつけることで、挙ってイランを襲ってくる事態を未然に防ごうとして、イランの立ち位置を明確に示しています。
イラン情勢が混迷を極め、出口が見えない中、ウクライナはアメリカに見捨てられ、欧州はウクライナ最優先との立場を取ってイスラエルを見捨て、アメリカと距離を取る姿勢を取りましたが、これが一気に欧米の同盟関係を根本から崩壊させ、NATOを形骸化し、結果としてロシアのプーチン大統領を大きく利することに繋がっています。
石油・天然ガスの輸出が再開され、キューバを手始めに西半球での影響力が回復しただけでなく、アフリカ諸国との関係強化を通じて影響力を拡大していますし、混乱を極める中東においてもロシアのプレゼンスが高まるという、非常に皮肉な結果を生み出しています。
独断的な行動と同盟国への冷遇及び失礼な扱いがアメリカの孤立を深め、イスラエルが暴走することで中東地域のデリケートな安定は崩れ、大イスラエル主義の実現とアラブ社会の団結の衝突が起き、そこにイランが紛争当事国として混じり、その背後にはトルコ、ロシア、中国が控え、パキスタンがイランとアラブ諸国に“核の傘”を提供し、インドが独自の姿勢を取りつつも、影響力を各地に拡大し、それぞれの主要なパワーハウスの国々が、混乱極まるアフリカに食指を伸ばして、さらに国際情勢を激しく揺らし、混乱の極みに陥れるという状況が静かに、でも確実に表面化しつつあります。
協調による安定よりも、力に根差した自分・自国ファーストのエゴがぶつかり合う国際情勢は、もう決して戻ることができない分岐点をすでに越えてしまったのかもしれません。
一応“話し合いのチャンネル”は複数開かれ、“話し合いによる解決”の可能性に賭けて調停努力は続けられているのですが、果たしてどうなるやら、こちらも出口が見えてこない今日この頃です。
今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年4月3日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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