貨幣経済から信用経済へ。キャッシュレスが加速させる「人間らしさ」の逆襲が始まった!

 

テクノロジーが人間らしさを引き出す

もう1個大事なのが、「2012年に衝撃を受けたSpeech」ですね。後で見ていただきたいんですけれど。https://www.ted.com/talks/sal_khan_let_s_use_video_to_reinvent_education

テクノロジーは、一見すると人間を殺すんじゃないか?みたいな議論があるんです。実は人間性を引き出すものだということを、サルマン・カーンという今世界最大のオンライン教育のプラットフォームであり、ビルゲイツも推している無料で小学校から大学までの基本的な授業を全て受け入れるという素晴らしいプラットフォームをやっている方のTEDでのトークです。

彼は、「学校ほど非人間的なものはない」と言っているんですね。それはなぜかっていうと、学校って90%の時間は、「先生が喋っているだけじゃないか」と。これって生徒のクリエイティビティを殺しているよね。

では、彼がやったオンライン学校は、彼は姪っ子を家庭教師するためにスカイプを使って授業をやっていたんです。授業のまとめをユーチューブにアップしたら、ユーチューブの方が便利だと言われて、衝撃を受けるんです。スカイプでやっていると、「おじさん、今のところ分かんなかったから一回教えて」とか、「実はそこ得意で飛ばしていいよ」みたいなことが言いにくかったりするわけですね。

それに対してユーチューブの動画だと、自分の好きなペースで何回も巻き戻したり、分かっているところはスキップして、テストだけ正解を受ければいいという感じで、自分のペースに合わせた教育ができるようになるわけです。

だとしたら、授業の90%は動画的なダウンロードで済むわけです。この部分は「家でやってこればいいじゃないか」というのがサルマンが言ったことです。その時に学校の役割は、「人間しかできないこと」になるんですね。こうやって動画を「誰が何回も見直したのか」という状態で、「誰がどこに詰まったか」が記録できるわけです。

一方で、「誰が得意か」というのも分かるわけです。そうすると先生の役割は、一時的には分からない人を個別指導するというのもあります。

さらにいいことは、授業の時にこの子に「ここ分かんないでしょ?でもあの子はそこ得意だから、聞きにいきなよ」って背中を押してあげたり、できている子に「他の子がまだまだついていけないからその子に教えてあげなよ。でも教えるということを通して、あなたもより自分で学んだことが言語化できるからきっとすごく得するよ」と、また背中を押してあげたりする感じですね。

ネットでお互いにできることをやっていけばいいということなんですよね。それを持ってサルマンは「ヒューマナイズする」という言い方をしています。

もっと大事なことは、ヒューマナイズをすることが、スクエアやツイッターのCEOをやっているジャック・ドーシーが言ったことです。決済って味気ないんですよね。レジでお金のやり取りするところが手間暇かかるから。でも相手によって見えなくしてしまうんです。

例えば、スターバックスの中では顔認証みたいなことが実験されているんですけど、お金のやり取りをする時間がなくなれば、「○○さんまた来てくださったんですね」「○○さんってこういう苦みばしったコーヒーが好きだから、今度チャレンジしてみませんか」みたいなことで決済は、仕方なくやっているから、それを消してしまえば、人間らしいコミュニケーションに戻るということなんですよね。

僕は楽天に行った時に楽天ってまさにそういうもんだと思いました。つまり、ものだけじゃなくて、物語を売るということです。それは、ものは機能だけだと、コピーを簡単にされてしまう時代なので、物語価値に人はお金を払います。

楽天の中では卵を1つ10円みたいなものがスーパーの安値で売られているものが、「こんなに元気で箸で掴める黄身ですよ」みたいな、元気をいただけて、鶏を大事にしている物語をいただくと1つ70円になるみたいな世界があるわけですね。そうやって物語を流通させることによって元気を売っていくということです。

面白いのですが、さっきの卵で一番売れるパック数は、1パック160個らしいんですね。なぜなら、人って物語をいただいて元気になったら、誰かにお裾分けしたくなるんです。小分けパックで160個入りが売られていて、「昨日楽天さんでスゴい美味しい卵が売っていて、笑顔になるから食べてよ」といって、他の人にお裾分けしていくわけですね。

大事なことは、1個10円から70円になったからといって60円上がっただけじゃないですか。そうすると、友達に2個お裾分けしても120円のプレゼントなんですね。これって、言い方は悪いですが、義理チョコを渡すよりもずっと効率が良い人を幸せにすることですよね。そういう、徹底的に機能をきれいにしていくことで、人間らしさを引き出していくんです。

そうやって、物語を人に伝えたくなると自己伝播していくんです。これは楽天では「Shopping is Entertainment」と言っています。僕はそういうことを引き出したいから学んできます。

ITが人間らしさを引き出していく、人を楽しくしたり元気にしたりしています。そういうエンパワーメントをやっていくということが大事だと思っています。それは、リッツカールトンのプレートの中にもあります。

なぜリッツカールトンという1泊5万円するホテルに人が泊まるのか。というのは、機能が見えなくなるくらいに徹底された世界の上にほんの少しの「悪戯」。ミスティークというのは、妖精の悪戯なんですけど、それがあるからお客さんがめっちゃハマってしまうエモーショナルエンゲージメントを起こすので、お客さんは1万円で泊まれるところを5万円の部屋にお金を払ってもらえるということです。

そういう世界観を作っていくことは、僕が大好きな話なので、どうしても数字のおばけに負けやすい中でみんなの力でどうやって歩んでいくのかということ、深ぼっていければという話です。

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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