トランプでも習近平でもない。戦争のドミノを食い止め第3次世界大戦を防ぐ国と指導者の名

 

習近平の「中華民族の偉大な復興」とトランプの「MAGAの追求」

次に中国にとってのレコンギスタですが、これは一言で言えば、習近平国家主席のモットーにもなっている「中華民族の偉大な復興」をバックボーンとして持っています。

その対象はもちろん台湾の併合による大中華帝国の統一ですが、それに付随する形で独自の勢力圏の再確立というレコンギスタで、南シナ海への影響力の拡大と、地域のライバルと目される日本や韓国への圧力の増大に繋がっていると考えられます。

歴史上、100年周期で中国における王朝は崩壊し、新たな統治体制が構築されることを繰り返すとされていますが、中華人民共和国建国100周年を迎える2049年までに、押しも押されもせぬ王朝を確立することが、習近平国家主席が掲げる中華民族の偉大なる復興であり、“初めて”100年越えの王朝を築き上げたいという野望がひしめいています。

そのためには、これまでに奪われ、失われた土地や領土などを取り戻すことが必須と考えられており、その象徴的な対象こそが台湾というわけです。

中ロによるレコンギスタが活発化した一因と考えられるのが、旧ソ連崩壊後唯一の超大国になったアメリカの外交・安全保障面での大きな方針転換といえますが、それは、クリントン政権時代から始まり、オバマ政権下で「アメリカは世界の警察官であることを止める」方針が明確に示され、実際にシリアにおいて化学兵器が用いられた際にアメリカが何もしなかったことを受けて、中ロは「何か大胆な行動を取っても、アメリカは介入しない」という確信を抱き、その後、野心の爆発が起きたと思われます(ロシアにとってのクリミア半島とウクライナ、中国に取っての南シナ海の実効支配がこれにあたります)。

この現状を受け、トランプ大統領のアメリカが目指すレコンギスタがMake America Great Again(MAGA)の追求です。

MAGAはよくアメリカ国内の雇用の確保や生産の回帰といった経済面での覇権の回復と捉えられていますが、私はこれとは別に国際的なMAGAがあると見ており、これこそがアメリカにとっておレコンギスタではないかと考えます。

ではグローバルな舞台におけるMAGAの実現とは何かですが、これは一言で言えば“世界覇権の回復”となります。今年年始のベネズエラに対する奇襲作戦と石油権益の掌握(強奪)を成功させることで、OPECプラスが握ってきたエネルギー価格のコントロールを著しく弱め、原油価格を一種の経済的な武器として用いることで、再び世界経済の覇権国家に回帰したいという思惑が強まりました。

そして2月末のイランへの大規模攻撃の実施において、そのエネルギー市場、特に原油・天然ガス市場の価格決定力という大きな力の掌握をコンプリートする算段でしたが、イランの予想をはるかに上回る反撃と報復に晒され、今、自ら開けてしまったパンドラの箱のふたを閉じる術を失っている状況です。

ただこの世界エネルギー市場の掌握という世界的覇権の回復目標は取り下げておらず、それが今、ホルムズ海峡のコントロールを巡るイランとの争いに発展しているのが、現在進行形の紛争の一つの側面です。

ちなみにイランがホルムズ海峡の支配をするのは、国際海洋法違反となりますが、アメリカが軍艦を派遣してホルムズ海峡を封鎖し、国際的な船舶の通航を妨げているのも、また立派な国際海洋法違反といえ、力を持つ国が強引に国際的な法の支配のルールを曲げている典型的な例だと思われます。

一応、きれいごととしては「悪いことをしても、アメリカが問題解決に打って出て来なくなったと思わせる状況を打破し、再び世界のパワーハウスへ回帰する」というレコンギスタが挙げられますが、明らかにイスラエルに肩入れして、イスラエルによる非人道的行為を黙認しながら、反イスラエル勢力をこき下ろし、武力と経済力で脅す行為をアメリカが繰り返す限り、アメリカの覇権国としてのクレディビリティは永遠に失われることになると考えますが、それにトランプ大統領も政権幹部も、そしてアメリカ国民も気づいているかは不明です。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print

  • トランプでも習近平でもない。戦争のドミノを食い止め第3次世界大戦を防ぐ国と指導者の名
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け