しばらく落ち着くことはないと考えられるイラン戦争
では、イラン情勢が早期に解決する見込みはあるのかについて見てみたいと思います。
結論から申し上げますと、そのカギを握るのは、アメリカでもイランでもなく、イスラエルの出方です。
アメリカとイランの間で協議された和平条件の中に“イスラエルによるレバノンへの攻撃停止”が入っているか否かという議論がありますが、いろいろな情報によると、当初、米・イラン間で協議した際には、レバノンへの攻撃条項は含まれていたという証言が多くありますが、それに横やりを入れ、イスラマバードでの米・イランの協議直前にレバノンへの大規模攻撃を実施して、止める意思がないことを示して、イスラマバードでの協議前に和平交渉を失敗させることに成功したと言えます。
その後もイスラエルはヒズボラ掃討を正当化してレバノンを攻撃していますが、それは明らかなAct of aggressionであり、イスラエルの領土的な野心の現れと捉えられており、トランプ政権もそれを重々承知していますが、トランプ政権にとっては手を付けてしまったイランとの戦争を終えるには、イスラエルの協力が不可欠であることから、ズルズルと黙認することになっているようです。
一応、トランプ大統領からの要請(命令)を受けて、イスラエルとレバノン両国の駐米大使がワシントンDCで直接協議をし、そこにルビオ国務長官やイッサ駐レバノン米大使、そしてウォルツ国連大使が同席して協議を行っているものの、イスラエルが突き付ける“ヒズボラの武装解除の徹底”は、レバノン政府にとっては国内の宗教対立を深め、1975年から1990年まで続いた泥沼の内戦の再発を誘発しかねないとの恐れから受け入れられない条件となるため、イスラエルはトランプ大統領のお膝元においてでさえ、対レバノン戦争および対イラン、ハマス戦争の完遂のための時間稼ぎに勤しんでいます。
結果として、イラン情勢を解決に導くための材料をアメリカ政府が見出すことが出来ず、かつイスラエルに矛を収めさせるための手段も見つからない状況が明らかになっていることから、仲介の労を担うパキスタンに最大限の敬意を表するものの、米(イスラエル)・イランの戦争が落ち着くことはしばらくないと考えています。
今回、レコンギスタという、いつもとは異なる視点から現在の国際情勢の裏側を描いてみました。
今週末も引き続き複数の紛争調停トラックが並行して走ることになりますが、しっかりと頑張りたいと思います。
今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年4月17日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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