トランプでも習近平でもない。戦争のドミノを食い止め第3次世界大戦を防ぐ国と指導者の名

 

「仲介役」でレコンギスタを果たしていると言えるパキスタン

今回、アメリカとイランの和平協議の仲介を申し出たパキスタンにとってのレコンギスタはどうでしょうか?

2001年のアメリカ同時多発テロとWar on Terrorの際に、アフガニスタンを隣国に持ち、イスラム教国であり、かつ世界屈指の情報機関を持つ国としてクローズアップされ、一時期はパワーハウスに準じるサークルに入っていましたが、その後のインドとの対峙や経済的・政治的なスランプとスキャンダルを経て、すっかり鳴りを潜めていたのがパキスタンですが、今回、仲介を通じて、再び国際舞台の中心へ躍り出て、“かつての栄光よ、再び”とばかりに失地回復に乗り出し、隣国インドに対する激しい対抗心を再燃させているように見えます。

先週末の第1回目の協議(イスラマバード)は、21時間にわたるやり取りを経ても合意を引き出せませんでしたが(そしてパキスタンに大きな経済的なコストももたらしましたが)、確実に外交の表舞台にカムバックし、2回目の協議を前に、トルコ・カタール・サウジアラビア王国との協議を急ぎ、仲介におけるバックボーンの強化に乗り出しています。

ただ、アメリカがイスラエル絡みの仲介には向かないのと同じく、非常に反イスラエル色が濃いパキスタンも仲介には向かないと思われ、1回目の協議が物別れに終わってから、シャリフ首相が「イランをイスラエルが核で攻撃するようなことがあれば、パキスタンの核兵器がイスラエルを破壊する」という発言を行い(中国も同様の発言を行った)、予てより、「ガザにおけるイスラエルの行いはジェノサイドで、その後、レバノンで行う無差別攻撃もまた罪を重ねる行為」と非難し、「中東地域における戦争の拡大と激化の元凶はイスラエルで、イスラエルが和平のディール・ブレイカーだ」と非難しています。

仲介の可否・是非はちょっと考えないといけませんが、国際社会へのカムバックという観点からは、レコンギスタを果たしていると言えます。

ではかつてのパワーハウスである欧州はどうでしょうか?

第2次世界大戦まで保っていたと思わるかつての輝きはなく、アメリカの超大国としての台頭と、ロシアをまた敵に回した(味方にできなかった)ことで、国際社会においての覇権・影響力を失ったといえます。

グループとして集えば力を発揮できると考えて、紆余曲折の末、欧州連合(EU)として統合したものの、外交・安全保障政策はまだ各加盟国に握られている中途半端な統合であるため、影響力の回復には至っておらず、口先だけの元大国の集いに過ぎない状況になっています(私は欧州のことは大好きですが…とても残念な状況を眺めて嘆いています)。

ゆえに欧州各国としては、かつての威光と影響力を取り戻したいと願っており、これまではアメリカの威を借るキツネに過ぎなかったが、トランプのアメリカとのTrans-Atlantic関係にヒビが入ったことで、アメリカに頼らない独自の防衛と安全保障体制の構築を、やっと模索し始め、今週には“USなしのNATO”についても議論の机上に上がってきていますが、レコンギスタ起こりの地とはいえ、欧州の復権は、単独では望めないと考えています。

レコンギスタの実現のために、欧州は自らの力を強化するのに加え、“どの大国と組むか、それともすべてと等距離の付き合いをするか”を検討しなくてはなりませんが、欧州、特にフランスが夢見るかつてのように国際情勢を左右し得るパワーハウスへの回帰はないと考えています。“欧州”として立っていられれば成功なのかもしれません。

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