トランプに同行したイーロン・マスクが得た成果
同じくトランプ氏に同行したイーロン・マスク氏については、「コミュ障なのでパーティーでも孤食」などという写真が出回っていましたが、やはり訪中の成果はあったと見られています。訪中から戻った週明け、全米注目の「スペースX」上場問題については、上場審査プロセスが前倒しで動いており、6月上旬に上場という見通しが固まったという報道がありました。日付も出ており、
- 売出価格決定:6月11日(木)、NASDAQ取引開始:6月12日(金)
というスケジュールとなっています。仮に5月20日までに申請が完了した場合ですが、恐らくそのように進むと見られています。そのうえで、今のところは、
- 調達額は75ビリオン(12兆円弱)が目標で史上最大
- NASDAQ上場が確定で、ティッカーはSPCX
- 上場直前に5対1の株式分割の模様
- 上場直前の6月4日の週に企業広告の大キャンペーン展開予定
ということです。上場後の時価総額は、「GAFAM」クラスが新たに誕生する規模だという大型上場になります。そして、この種の大型株の場合は、初値を持ち上げるのに成功しても、一旦は売りが先行して大きく下げるのが通例です。その上場後の下げ圧力も折り込みつつ、とにかくこの上場を成功させるというのが、現在のアメリカ市場の最大の関心事だと言えるでしょう。
では、この「SPCX上場」と米中会談の関係はというと、やはり「SPCXというのは、単なるロケット会社ではない」ということだと思います。というよりも、ハッキリ申し上げて「AI企業の一つ」だと言って良いように思います。なぜならば、SPCXを構成する中には「xAi」社も入っているからですが、それだけではありません。
一つの可能性として、「SPCXの上場はまずまず成功したが、その後の市場環境は悪化、実体経済も悪化」という場合には、あとに続く「OpenAI」と「Anthropic」の上場には赤信号が点灯するかもしれません。その場合に、仮に、この両者のどちらかに、何か問題があって企業価値が下がった、そんな展開があると、SPCXはAIの雄を買収しにかかるかもしれません。
この辺りの駆け引きは、動くカネも大きいですし、そもそも政権中枢の人材でハンドリングできる質量を越えてしまっている話でもあります。ですから、どうなるのか、投資家も必死に勉強してついていくしかないのが現状です。
そうではあるのですが、今回の米中会談においては、どう考えてもAI時代の幕開けということを再確認していると言えると思います。AIの開発競争においては中国とアメリカの2強が、提携する部分は提携し、競う部分は競いながら進む、そのような時代が来たのです。
ちなみに、現地18日には、イーロン・マスク氏の「敗訴」というニュースが流れました。これはマスク氏の側が提訴していたもので、「OpenAI社は公益目的が大きく、営利活動には馴染まない」という主張を訴訟で表現したものです。提訴の当初は話題にもなり、マスク氏もアルトマン氏も法廷証言で対決したりしていたのですが、その後はお互い関心は薄くなっていたようです。
結果的には、今回陪審によって提訴は却下されたのですが、誰も驚いてはいません。これで、「SPCX」に続いて「OpenAI」の上場も加速するという見方もあります。同時にAPCXが展開によっては「OpenAI」を買うということも、あり得るでしょう。つまり、AIは人類共有の財産だから非営利にというような、「マスク氏の過去の思いつき」は自他ともに否定されたのです。
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